スポーツ選手はそれを使っている。有名人も、ブランドもそれを使っている。ファッションに敏感な人たちまでもが、それをトレンディだと考えている。だが「それ」、つまりTwitterが2カ月前に公開した動画クリップサービスである「Vine」は、読者が思っているほど高い人気を博していない。動画共有という分野全体についても同じことが言える。動画共有は、われわれの世代の写真共有サービスと比較すると、全体的に垢抜けない印象を与える。
Vineは6秒間の動画が繰り返し再生される「iOS」向けアプリケーションで、米国時間1月24日に公開された。同アプリはその気取った雰囲気が賞賛されており、ユーザーは非常に短いクリップを組み合わせて、芸術家ぶったものやおかしなショートムービーを作ることができる。
その慣習にとらわれない動画フォーマットは、有名無名を問わず、市民ジャーナリストから求職者まで、あらゆる人々の間で人気を得ている。しかし公開から2カ月が経過したVineは、1億人以上の月間アクティブユーザーを獲得するまでになった「Instagram」と同じ道を歩んでいるようには見えない。ソーシャルメディア分野で一瞬のうちに名声と富を得た企業の典型であるInstagramは、Instagramの平易さをより長い表現形式に応用していると主張するすべての動画アプリをはかる尺度だ。
Vineのユーザー数は公式には発表されておらず、Twitterは生まれて間もない同動画アプリについてはどのようなデータも公開していない。
データ処理企業のRJMetricsは先頃、Twitter上のリンクによってさまざまな動画アプリの人気を測定する調査を実施した。わずか1カ月で、Vineは「Viddy」と「Socialcam」を抜いて、Twitter上で最も人気のある動画共有サービスになった。しかし同サービスはまだ完全には成熟していない。同サービスを利用しているのは、最もアクティブなTwitterユーザーの中のごく少数だけである、とRJMetricsは結論付けた。
RJMetricsは同調査で、無作為に選んだ「非常にアクティブ」なユーザーが投稿した230万件のツイートを調査した。非常にアクティブなユーザーは、2013年1月1日~2月24日の間に少なくとも100回ツイートした人々と定義されている。Twitterには2億人以上のアクティブユーザーがいる。
RJMetricsによると、非常にアクティブなTwitterユーザーの約4%が2013年1月24日~2月24日の間に、Vineや人気の高いほかのサービスを通して動画を共有したという。非常にアクティブなユーザーの2.8%がVineを利用した。一方、ViddyとSocialcamを使ったユーザーは、それぞれ0.5%と0.2%だった。別の言い方をすると、Vineを利用したことのある非常にアクティブなユーザーは3%にも満たない。
その1カ月間、非常にアクティブなユーザーの98%は主要な写真共有サービスを通して、少なくとも1枚の写真を共有した。写真共有と動画共有の間の98%対4%という比率は、動画がいかに大きな後れを取っているのかを示す、驚くべき調査結果である。
RJMetricsの最高経営責任者(CEO)かつ共同創設者であるRobert Moore氏は米CNETに対し、動画共有が写真共有と対等になることは現実的ではないと述べた。そして、動画共有が写真共有と同じくらい高い人気を得るときが来るとしても、それが今でないことは確かだ。
2012年、ViddyとSocialcamは「われわれは動画版Instagramだ」というメッセージを猛烈に売り込んでいた。そして、いずれのサービスも大きな成功を収めるように思えた。そして実際に成功を収めた。その後、「Open Graph」とつながったそれらのアプリにトラフィックとユーザーを向かわせる主要な要素であるFacebookがアルゴリズムを変更し、アプリの動作がそれほど重視されなくなった。
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