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数百人が同時参加可能--世界最大の人狼ゲームイベント仕掛け人が考える“遊び”とは - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2013年03月28日 10時00分
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人狼という文化に「進化」と「多様化」で恩返しを

--ニコニコ超会議2では数百人同時参加が可能な『超・嘘つき村の人狼』を開催しますが、以前行われた『嘘つき村の人狼』は、どのような経緯で開催されたのでしょうか。

 前の『嘘つき村の人狼』は約60人が集まって一度に遊べるということで日本最大をうたってましたけど、人数そのものはそんなに重要ではなく、もともとのコンセプトは「誰でもOKな人狼イベント」なんです。3人1組のチーム戦を考えた目的もそこです。

 もともと「人狼」は自分以外は誰も信じられないというゲームです。そうすると初心者がいきなりイベントでこういう環境に放りこまれるのはしんどいし、怖くも感じるでしょう。さらに、ゲームのコツや勘所を理解していない状態で理屈に合わない言動をしたら怒られるんじゃないかという不安もあるかもしれない。それを3人1組のチーム制にすることによって、少なくともその3人だけは絶対に味方だし相談もできるという保証を作って、ハードルを下げているんです。チーム内で喋りがうまい人には会議に出てもらう、推理が得意な人にはそれに集中してもらう、という役割分担もできますし、そういう意味でもハードルはだいぶ下がっているはずです。

 そのチーム制の副産物として、通常の人狼が20人ぐらいを参加上限にしているのに対して、3倍の60人が参加できる「大規模な人狼」という側面ができました。これによって普段人狼を遊びなれている人にとっても特別な体験ができるという意味で、ますます誰でもOKなイベントになったと思います。これが『嘘つき村の人狼』の企画経緯ですね。

--そして今回の『超・嘘つき村の人狼』では、さらに「世界最大」をうたってますね。

 そうですね。でも今回はこれまでとはまったく違う考えで、はっきりと大人数で遊ぶことをコンセプトにしています。シンプルに「一生に一度ぐらい、数百人で人狼をやってみたいじゃん!」という興味ですね(笑)。つまり、きちんとした人狼の入門編とか上級編とかいうことよりは、お祭り感を重視しています。とはいえ、我々は一応ゲームのプロなので「これまで不可能と思われてきた、大人数できちんと成立する人狼の仕組み」を考えるという、裏のミッションにもちろん挑んでいます。

 少なくともただ単に3人一組のチーム制の延長で、5人のチームだから100人だとか、力技で100ターンかけて遊べば100人でいけるよというのではなく、「人狼」の仕組みを一度解体して再構成するようなゲームルールを考えています。理論上は、上限なく無限の人数でも実施できる仕組みを成立させたいというのがテーマです。

--そもそも、なぜ人狼をこのようなリアルイベントとして開催しようと思ったのでしょうか。

 私が思うに、ある面において人狼は世界最強のゲームのひとつです。特徴的なのは、普段ゲームを「嫌い」「苦手」と自称している方々も、これをあまりゲームと思わず楽しんでもらえたりすることですね。そしてこれこそが、ドロッセルマイヤーズが「ゲーム」よりも広いカテゴリの「遊び」として紹介していきたいコンテンツのひとつなんです。人類が発明した無数の「遊び」のなかでも、かなり出来がいいというのが私たちの人狼の捉え方です。

 ではそれをなぜイベントでやるかというと、これは人狼の紹介の一形態であるとともに、人狼そのものを進化させる一手であると考えているからです。人狼は口頭伝承的に世界中に広まったゲームですが、その割には細かなルールバリエーションやアレンジはあるものの、本質となるルールそのものはほぼ変化していません。これも人狼という遊びの優秀性を証明するトピックではありますが、僕らは遊びをプロデュースする立場として、人狼の可能性はもっと深いはずだと思うんですね。

 例えばですが、人狼という遊びのハッキリした欠点として、遊べる人数の幅が意外と狭いということが挙げられます。下限は7人か8人からで友達数人で遊ぶことは難しく、上限も20人ちょっとなので結婚パーティの余興としては使えません。人数が多くなるほど、それに比例してプレイ時間も長くなりますし、さらにプレイヤーとは別に司会者が1名必要。面白いけどかなり遊べるシチュエーションがかなり限られているゲームだと言えます。

--ボードゲームでもそうですけど、遊ぶ場所やメンバーの確保がハードルになるケースは多いですね。

ワンナイト人狼
ワンナイト人狼

 人狼にもっと多様な形態があってほしいという気持ちがあるんです。別の方が作られた同人ゲームで、3人からの少人数かつ短時間で遊べる『 ワンナイト人狼』という作品が人気なのですが、その名のとおり、人狼を昼と夜の1ターンだけで成立させたものです。これはまさにコロンブスの卵で、一度アイデアとして共有されてしまえば誰でも再現可能な遊びですが、かつてそれを試そうと思った人はいなかった。もちろんこれによって本来の人狼の魅力から失われる部分もありますが、代わりに圧倒的なカジュアルさが手に入ったわけです。

 今回の『超・嘘つき村の人狼』で僕らが試そうとしているのは、このカジュアルさとは逆で、人数を無限に増やしても大丈夫な人狼です。もしこれが実現できれば、人狼の可変性は飛躍的に広がって、あらゆるパーティやイベントで人狼が実施可能になります。つまり、人狼という遊びがさらにもう一段階「自由」になるわけですね。

 もちろん僕らも企業なので、『嘘つき村』のイベントをビジネスとして軌道には乗せたいと思っていろいろ試行錯誤しているところはありますが、それと同時に、人狼という文化に何を返せるかを考えていくことが重要だと思っています。人狼という誰のものでもないアイデアを、だからといって特定の企業がこれ幸いと無批判に私物化したり利用するだけでは、それはいわば文化に対する搾取ではないかと感じているんです。だから僕らはそういったやり方には加担したくないし、きちんと恩返しとして「進化」と「多様化」をプレゼントしていきたい。ちょっと大げさかもしれませんが、そのために必要な第一歩として『超・嘘つき村の人狼』の大人数対応システムを考えています。

--話を聞くと、『超・嘘つき村の人狼』はかなり大胆なアレンジを加えたルールになっているようにも感じます。

 かなり根本的なところからアレンジを加えてます。でも優れたアレンジは、結果だけ見るとなんてことないものに見えるものですから、参加者の方に「あれ? 思ったより普通の人狼だな」と感じてもらえたら、今回のイベントがうまくいったということになるかもしれません。あるいは「こんなに変わってるのに、ちゃんと人狼っぽいな」と思ってもらえるのでも嬉しいですね。

 以前の『嘘つき村の人狼』では、3人チーム制以外はもともとの人狼のルールに極力手を入れずに実施した、いわば日本料理のような最小限の料理法でした。でも今回は、人狼という素材が壊れないギリギリを見極め加工する、フランス料理のような方法論です。だから「こんなの人狼じゃない!」という意見も出るかもしれませんが、そういうレベルでチャレンジをしてみたいと思っています。とはいえ、自信ありげなことを言ってみたものの、実際のところ数百人でのテストを事前におこなうのは不可能なので、本音を言ってしまえばぶっつけ本番です。ちゃんとゲームとして成立するのか、本音を言えば不安なところもあります。

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