スカパーJSATは3月9日、4K映像による伝送実験を実施した。東京都調布市の味の素スタジオと東京都港区のお台場シネマメディアージュを衛星でつなぎ、Jリーグ、FC東京対柏レイソルの試合をライブ中継をした。
同社が4Kの伝送実験を実施するのは2回目。2012年10月に実施された第1回 に比べ、今回はカメラ台数を5台から7台へ増加したほか、スーパースロー撮影ができるFOR-A「FT-ONE」を導入するなど、中継のクオリティにもこだわった。
4K放送は、2014年夏の開始が報じられている高画質放送規格。CS放送は安定的に大容量伝送ができると注目を集めている。フルHD放送の約4倍とされる3840×2160ピクセルの映像を放送ができ、走査方式は59.94p。単純計算で現在の約4倍の情報量が得られる。
今回スカパーJSATでは、味の素スタジアムに4Kカメラや中継車、送出用エンコーダなどを設置し、4K映像の撮影、送信を行った。受信側となるお台場シネマメディアージュでは、屋上にアンテナを設置し、4K映像を受信。400インチのスクリーンと5.1chサラウンドで、FC東京対柏レイソル戦をライブ中継した。映像コーデックはH.264、回線容量は最大120Mbps、利用周波数帯域幅は35.8MHzになる。
4Kカメラで撮影された映像は、フルHD解像度の画面4つに一度分割され出力。1本化された後、衛星経由で送信される。受信側で再度4分割し、4Kプロジェクタで映し出されるという仕組み。これらをすべてライブ中継で行った。
スカパーJSAT代表取締役 執行役員社長の高田真治氏は「スーパーハイビジョンといわれる4K、8K放送は、官民あげてオールジャパンの体制で放送を始めようと鋭意検討が進んでいる。4K、8Kの放送は広い帯域がいるということで、私どもの衛星が非常に役立つ。2012年10月に開催した第1回の伝送実験では、前日までカメラ2~3台でできるかどうかという状態だったが、実際は5台のカメラを使用。今回はカメラの台数もスーパースローを含めて7台と中継のクオリティにもこだわった」と伝送実験がパワーアップしていることを話した。
今回は、4Kと同時にHD出力ができる機材を多く使用しており、ものによっては8K出力にも対応しているとのこと。前回の伝送実験を手がけてみて4K画質をどう見せていくか、HDや8K画質とどう組み合わせていくかなどの課題が見えてきたという。今回はスーパースローカメラを加え、中継のクオリティをより意識した形で伝送実験を実現。さらに受信アンテナは可搬型のものを使用しており、前回実験の時よりも小型化しているという。スカパーJSATでは、4K放送に向け今後も伝送実験に取り組んでいく。
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