とはいえ、Instagramはティーンエイジャーの意識に浸透したのと同じくらい簡単にそこから姿を消す可能性もある。思い出してほしい。Zuckerberg氏が2012年5月、Facebookの新規株式公開(IPO)の数週間前にInstagramを買収したとき、同社は創設後わずか17カ月の企業だった。自分の子どもは風景や建築物の芸術的な写真を共有するためにInstagramに夢中になっているわけではない、ということに保護者は気付き始めている。筆者が話を聞いたすべてのティーンエイジャーには、彼らのInstagramアカウントを注意深く監視する用心深い保護者がいる。
元青年部担当牧師で、サンディエゴに住むティーンエイジャーの保護者向けに教育的なソーシャルメディアセミナーを開催しているAdam McLane氏が筆者に話してくれたところによると、同氏のセミナーで一番の話題になるのはInstagramで、自分の純真な子どもたちがいじめや不適切な写真の投稿といった非道徳的な活動に参加しているのではないかと不安になって、取り乱す保護者が大勢いるという。
こうした保護者という要素だけでも、子どもたちがSnapchatや「Pheed」「Tumblr」といったほかのアプリケーションに逃げ出す原因になるかもしれない。これらのアプリケーションもすべてティーンエイジャーから強固な支持を得ているようだ。投資家たちは特に、短時間で消滅するメッセージを毎日6000万件以上送信するSnapchatに賭けている。なぜなら、彼らは次のFacebookに乗り遅れたくないからだ。
Microsoftのために若者たちのソーシャルメディア利用状況を調べているシニアリサーチャーのDanah Boyd氏は、「ティーンエイジャーは自分の居場所と呼べるサービスを探している。彼らは別のサイトに大挙して押し寄せるのではなく、複数のアプリに分散し、多種多様なツールを使って友達と関わり合っている。新しいツールが毎週登場する。私にとって刺激的なのは、ティーンエイジャーが新しいものを試していることだ」と述べた。
若者たちのこうした実験的な気質のために、Facebookは一過性のティーンエイジャーの気まぐれに対応するという難しい立場に置かれている。一例を挙げるとFacebookは、Snapchatをモデルにした携帯電話向けアプリケーション「Poke」を急ごしらえでリリースした。このアプリではメッセージを送信すると、数秒後に自動で削除される。しかし同社の最も反動的な動きは、人々を驚かせたInstagramの買収だった。この衝動的な買収の最終的なコストは約7億1500万ドルだった。
Instagramは1億人以上のアクティブユーザーを獲得するまでになったので、Facebookの衝動的な買収は賢明な動きだったように思える。しかし、Facebookは広告のないアプリケーションというモデルに関心を奪われている、という危険な現実が存在する。そしてFacebookは、InstagramとFacebook自身のアプリケーションを連携させる方法を理解してさえいない。
Facebookはティーンエイジャーが何を求めているのかを分かっていない。Ebersman氏は、それほど直接的な表現は使わないながらも、同様の趣旨の発言をした。
「従業員の年齢という観点から見ると、Facebookは非常に若い企業だ。そして私は、特定のユーザー集団が重視するものの動向を把握し、その集団を満足させる製品を提供する方法を理解するために、若い企業であることがFacebookにとって資産であり続けるように願っている」(Ebersman氏)
この発言からすると、Facebookにとってせめてもの救いがあるとすれは、同社の従業員もまた、Facebookにうんざりしているということになってしまうかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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