業界関係者に話を聞いていく中で、実際に「App Storeのアカウントとアプリを削除された」として名前が挙がったのが、サイバーエージェントだ。同社は子会社のDelightを通じて、「こづかいゲットン」「1000万円懸賞」など、複数の懸賞アプリをリリースしていたが、現在それらのアプリはApp Store上に見当たらない。サイバーエージェントに確認したところ、「こづかいゲットンなど、Delight社のアプリが削除されたのは事実。ただしDelight社のApp Storeアカウントが削除されたことは確認できていない」(同社)いう。
ここからが業界関係者らが懸念している問題となる。実は削除されたこづかいゲットンとほとんど同じ仕様、デザインのアプリ「イチバン稼げる!こづかいゲットンNEO」「稼ぐぞ!稼ぐぞ!おさいふぱん太」が、それぞれDCG LABORATORY、Idm Inc.という2つの会社からリリースされているのだ。
アプリをインストールし、ID登録の画面では、FacebookやTwitterのアカウントに加えてAmeba IDでの登録も可能と、こづかいゲットンと同様である。しかし両アプリのサポートサイトには、運営元の社名すら表記されていない(2013年3月1日正午現在)。はたして誰がサービスを提供しているのか。
これについて再びサイバーエージェントに確認したところ、「両アプリは当初Delightが運営していたものだが、同社がEC事業に特化したため、現在はDelightと開発会社が共同で運営している。App Storeの販売元は、それぞれ開発会社を表記している」(同社)と、両アプリへの関わりを認めた。だがDCG LABORATORY、Idm Inc.ともに前述の懸賞アプリのみを開発している会社で、サイト上からは所在が確認できない。これについては「会社登記はしているが、小さく実績がない会社。業界でも知られていないのではないか」(同社)と説明。両社の所在地なども明かすことはなかった。
懸賞アプリやアプリ組み込み型のリワード広告を提供するのは、もちろんサイバーエージェントだけではない。だが、一度削除されたアプリをほとんど同じ形で提供し、ユーザーには自社の名前を明かさず提供するアプリ群を、サイバーエージェントグループは、広告代理店向けの媒体資料に「スマフォアフィリエイトメディア」として紹介しているという。
その売り上げも「月に2億円程度ではないか」「決算に影響のある数字だと思う。App Storeから削除されたアプリ(こづかいゲットンなど)も、新規会員が募集できないだけで、すでに多くのユーザーを抱えている」(それぞれ業界関係者)という声もある。
一連の取材に対してサイバーエージェントでは、「今後はサイト上に運営元を明示する」と語っている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」