カリフォルニア州クパチーノ発--Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏は米国時間2月27日に開催された株主総会で、同社は株価の下落に落胆しているものの、長期戦略の遂行に全力を傾けていると述べ、株主を安心させようと努めた。
当地で27日午前に開催された株主総会自体は、大きな波乱もなく終わっている。
予想通り、株主は8名いるAppleの取締役全員を再選した。
過去に株主から過半数の賛成票を得られなかった取締役にとって、2013年の再選へのハードルはやや上がっていた。2012年に株主によって承認された新しい条項により、賛成票がこの基準に達しない取締役は自主的に辞任するよう求められていたからだ。
Appleはまた、26日に浮上した株式分割のうわさについて無言を貫いた。
さらに、株主は2つの株主提案を否決した。1つは一定数の自社株を持つ取締役に関する提案、もう1つは人権委員会の設立をAppleの取締役会に求める提案だった。
もちろん、株主の関心の中心にあるのは株価だ。同社の株価は、数カ月前につけた最高値からおよそ37%下落していた。
Cook氏は「私もこれ(株価)にはがっかりしている」と述べたものの、株主への現金還元については何の対応も示さなかった。同氏によれば、取締役会と経営陣も対応を考えてはいないという。
Appleは長期的な視点と最高の製品を作り上げることに注力する企業であり、同社は今まで以上に努力を重ね、「今後すばらしい製品が登場する」はずだというのがCook氏の説明だった。
今回の株主総会で重要ながら取り上げられなかった問題は、当然ながら、株主であるGreenlight CapitalがAppleに対する訴訟で勝利したことを受けて、株主による投票が禁止された条項だった。Appleは同社が優先株を独断で発行できないようにする項目を含む、いくつかの項目を抱き合わせて1つの提案にしていたが、Greenlight Capitalはこれに反対して訴訟を起こした。マンハッタンの連邦裁判所が22日、Greenlight Capitalの主張を認めため、Appleはこの提案を完全に撤回せざるを得なかった。
Cook氏はまた、Greenlight Capitalを率いるヘッジファンドマネージャーのDavid Einhorn氏が起こした裁判を今でも茶番劇だと考えているか、との質問を受けた。
「そう思う」とCook氏は答えた。今回の訴訟は、Appleが現金を還元すべきか否かという話でも、どのように還元すべきかという話でもないというのが、Cook氏の見方だ。問題になっているのは株主の権利であり、Appleが現金を還元するとしたら、そのための優先株発行についてすべての株主に投票権を与えるかどうかという点にあると同氏は言う。Appleの考えでは、その答えは「イエス」、つまり誰もが投票権を得るべきであり、この訴訟は「茶番劇だと確信している」とCook氏は述べた。
さらにCook氏は、これは現金の配当に関する議論が茶番だという意味ではなく、取締役会と経営陣が議論することだと付け加えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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