NTTドコモは、スマートフォンを持って店舗に来店するだけで、ポイントやクーポンがもらえるO2Oサービス「ショッぷらっと」のトライアル提供を2月20日から8月31日まで実施すると発表した。対応OSはAndroidとiOSで、iOSアプリはアップルの審査を通過次第提供する。なお、このサービスはドコモ以外のユーザーも利用できる。
ユーザーは、ショッぷらっとの専用アプリをインストールしたスマートフォンを持って対象店舗に来店するだけで、star(スター)と呼ばれるポイントや割引きクーポンを得られる。貯まったstarは商品券やギフトカードと交換することが可能。スマートフォンのGPS機能を使って近隣でポイントやクーポンを配信している店舗を探すこともできる。
同日の記者発表会で登壇したNTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 オープンサービス企画担当部長の斎藤剛氏は「街へでかける際に、大半の人は友だちと会う、買い物をするなど目的を持っていくが、第2の目的まで定まっている人はそこまで多くない」と語り、当初の目的を終えた後の行動のきっかけとしてショッぷらっとを活用してほしいと説明する。
店舗へのチェックインには独自の“音波”を活用しており、店内に設置された音波装置が発する高周波を顧客のスマートフォンが検知すると、スマートフォンとサーバが通信し、ポイントやクーポンが配信される。トライアル期間中はドコモが無料で参加店舗に音波装置を貸し出す。
店舗はユーザーが登録した性別や年齢、郵便番号などの顧客属性をもとに、訴求したいターゲットのみに情報を発信できる。店内に複数の音波装置を設置して、その設置場所の巡回を条件にポイントやクーポンを配信することも可能なため、たとえば「20代女性のみ13~14時の間に3階婦人服コーナーにチェックインするとクーポンをプレゼント」といったピンポイントなニーズにも対応できる。
斎藤氏は企業の販促担当者が抱える課題として、(1)新規顧客の獲得にかかる膨大なコスト、(2)スマホ時代ならではのマーケティング手法の模索、(3)来客の店舗内の回遊を促進したい、(4)来店者のデータを取得したいの4点を挙げ、ショッぷらっとであればこれらの課題を解決できると語る。
サービス開始当初は東京23区を中心に、東急百貨店やシダックス、タワーレコード、リンガーハットなど約170店舗が参加する。同社では3月末までに店舗数を300店舗に、2013年度以降は1000店舗まで拡大したいとしている。
チェックイン機能には、一般的にGPSやWi-Fi、NFCなどが用いられることが多いが、なぜショッぷらっとでは音波を採用したのだろうか。
その理由について斎藤氏は「今回作りたかったのは実際に来店して価値を作るということ。その中で重要になってくるのが“10mの世界”だった」と語り、さまざまな技術を検討した結果、音波であれば店舗内という狭い範囲で、顧客を識別しつつ、かつセキュアなチェックインが可能になると説明する。
この音波による情報配信技術は、おサイフケータイ対応のFeliCaリーダーなどを提供するBUGとドコモが共同開発している。同社では、ショッぷらっとを皮切りに他のドコモサービスにも音波を活用した技術を導入していきたいとしている。
また、斎藤氏は「ドコモの強みは世の中にインフラを広げていけるパワーや、さまざまな文化を発信してきた実績だと思っている。この“10mの世界”も、私たちの中ではひとつの社会インフラになる可能性を感じている」と語り、将来的にはWi-FiやNFCなどに並ぶ技術として、音波技術を広く普及させていきたいとした。
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