筆者はAT&Tのネットワークを使ってサンフランシスコからZ10の通話品質をテストしてみた。筆者側での音声品質は十分なものであり、相手側のそれは優れているとの話だった。筆者がZ10を使用して、米国内のさまざまな地域の固定電話や携帯電話に対して電話をかけてみた結果、どの通話にも背景にかすかにホワイトノイズが入っているという点に気付いた。また、音声は心持ちうつろで金属質に感じる時もあった。この点はマイナスであるが、しばらく会話をしていると忘れてしまう程度のものであった。
背景にノイズが入っているため、音声は極めてクリアと評するわけにはいかないものの、ひずみや途切れはなく、高音域のヒスノイズもなかった。しかし、Sの音にかすかに空気が抜けるような摩擦音が入り込んでいた。それでも、長い会話を続けるうえで何の問題もなかった。
通話相手によると、音声は極めてクリアで、ノイズもないとの話であった。ただ時々、かすかにはじけるような音がし、携帯電話であることを再認識させられるとともに、筆者の声が少し平板でこもったように聞こえたとも言っていた。ある通話相手は、筆者の声がある程度大きくなった時にひずみが発生していたため、通話品質はベストとは言えないものの、それでも非常に良いと述べていた。つまり評価はA-というわけだ。
BlackBerry Z10の通話品質サンプル
BlackBerryのスピーカーは昔から定評があったため、筆者はZ10を腰のあたりに持ち、スピーカーフォンを試してみた。最初にボリュームを上げる必要があり、そうすると先ほど述べたうっとうしいホワイトノイズがまたしても発生していることに気付かされた。スピーカーフォンの音質は全体的に素晴らしく、通話相手の声は力強く、ピントのあった、しっかりしたものとなっていた。これはそこら中に音をまき散らしている他のスピーカーフォンとは対照的である。BlackBerryが良い仕事をしたのは間違いない。
テストのために筆者が最初に呼び出した相手は、もう少しスピーカーフォンを改良する必要があると感じたようだ。音量を大きくすると、筆者の声はさえぎられたように聞こえ、ひずみが発生したとのことであった。それに加えて、筆者の声がうつろに聞こえ、少し聞きづらいようでもあった。彼によると、スピーカーフォンの品質は通話可能な程度ではあるものの、素晴らしいとは言えないとのことだった。つまり評価としては余裕でB+をクリアしているというわけである。
Z10は時代の流れに従って、4G LTEやHSPA+、グローバルローミングを当然のごとくサポートしている。AT&Tの4G LTEはサンフランシスコでは高速であり、Z10もほとんどの場合にはその速度を生かせていた。ただ正直に書くと、筆者がレビューに使用したZ10はテスト期間中、安定したWi-Fiネットワーク上や携帯ネットワーク上で何度もハングした。筆者はこの点について2台目の機器を入手して状況を比較するまで判断を下すのは避けたいと考えている。いずれにせよ、この問題がどこから来ているのかを特定するのは難しいかもしれない。
とは言うものの、ネットワークが高速に使えている時には、ウェブサイトのロードは迅速であった(米CNETのモバイル向けサイトが3秒以内にロードされた)。OSの他の処理については遅く感じられた。例えば、電源を切った状態からロック画面が表示されるまでの起動時間は1分以上となっていた。ちなみに多くのスマートフォンは、電源を切った状態から使用可能になるまでわずか30秒程度しかかからない。
BlackBerry Z10 | |
---|---|
米CNETのモバイル版サイトのロード | 2.2秒 |
米CNETのPC版サイトのロード | 7.4秒 |
ロック画面が表示されるまでの起動時間 | 1分7秒 |
カメラの起動時間 | 2.2秒 |
写真撮影後の次の撮影までの時間 | 1.2秒 (非バーストモードで既に焦点が合っている場合) |
Qualcommの1.5GHzデュアルコア「Snapdragon S4 Plus」プロセッサ(一息で読むのは大変だ)は、Z10を魅力的なものにしている。このプロセッサは同社最速のデュアルコアプロセッサ「Snapdragon S4 Pro」よりも1ランク性能が低いものの、極めて優れた性能を発揮する。このため、動画の再生やゲームの実行もスムーズだった。筆者が経験した最大の問題は、先ほど述べたネットワーク接続の中断であった。
Z10の通話時間は3G接続で最大10時間、待ち受け時間は3G接続で12.7日、楽曲再生は最大60時間、動画再生は最大11時間となっている。搭載されているバッテリが1800mAhであることを考えると、この数値は悪いものではない。また事例証拠になるが、実際の使用ではバッテリは丸1日持ちこたえた。事例証拠と書いたのはもちろん、テストの最中には、輝度を最大にして使ったり、画面を常に表示させておいたり、数多くのウェブサイトを閲覧したり、中毒的なゲーム(「WordHero」はダウンロードするべきだ)をプレイするなど、いたるところでバッテリを使用していたためである。
疑問は2つある。最初の疑問は、BlackBerryがZ10の開発でどれだけ頑張れたのかというものだ。そして、次の疑問はこれを買うべきかというものだ。
筆者の観点では、BlackBerryはZ10で良い仕事をしたと言える。タッチスクリーン搭載機器の実績が短く、散々な評価を受けたこともある企業(ぎりぎり合格点の「BlackBerry Torch 9850」の前に「BlackBerry Storm」と「BlackBerry Storm 2」という製品があった)が開発した製品として、Z10は見かけがよく、スペックも望ましいものとなっており、基本を忠実に押さえていると言えるだろう。
しかし今回、Z10によって提示されたのは製品そのものだけではない。BlackBerryは、BlackBerry 10を初めて搭載したこの製品を携えて、特定市場に的を絞った過去のOSの重みに耐えながら岐路に立っている状態だ。片方の手にあるBlackBerry 10は、成長と成熟が約束された、勢いのあるまったく新しいモバイルプラットフォームである。そしてもう片方の手には、iPhoneによって王座を奪われる前から十分な時間をかけて成熟させてきたセキュアな電子メールやメッセージングサービスがある。BlackBerry 10はやっつけ仕事ではない。BlackBerryは何年にもわたって、Z10のハードウェアとソフトウェアの開発を優先させてきた。BlackBerry 10を初めて搭載するこの製品に同社の将来がかかっているという点に目を向けると、失敗の余地は少なくなっているのではないだろうか?
以下の条件に該当するのであれば、BlackBerry Z10は買いと言えるだろう。
以下の条件に該当するのであれば、BlackBerry Z10の購入は見送った方がよいだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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