ミクシィとディー・エヌ・エー(DeNA)は11月22日、ソーシャルゲーム事業での業務提携を発表した。スマートフォン向けの開発基盤を共通化し、ゲーム開発会社がミクシィの「mixiゲーム」、DeNAの「Mobage」の両ソーシャルゲームプラットフォームにゲームを提供できるようになる。
2013年1月に開発者向けに仕様を公開し、2013年3月にmixiゲームのリニューアルを実施する予定。PC版のmixiゲーム、mixiアプリに関してこれまで通り運用していく。
これまで異なるプラットフォームでソーシャルゲームを提供してきた両社。だが、開発者から見れば、一方のプラットフォームで提供していたゲームを両方に提供するためには仕様を変更せねばならず、開発の工数がかかるという問題があった。ソーシャルゲームではサービス提供後のチューニングやイベント開催といった運用面での負荷が大きい。
プラットフォームの共通化により開発者の負荷を減らすことで最終的に両方のプラットフォームにさらに多くのゲームが提供できるとDeNA代表取締役社長の守安功氏は説明する。
それぞれのプラットフォームについても、mixiではより多くのゲームの提供が可能になり、DeNAでは内製ゲームの提供による収益増を見込むと、メリットを語る。
また、mixiユーザーにとっては、これまで提供されてきたmixiゲームに加えて、Mobageで提供されているゲームが利用できるようになる。IDはmixiのものをそのまま利用し、ソーシャルグラフもmixiのものを引き継ぐ。仮想通貨もmixiで利用されているmixiポイントをそのまま利用できるという。Mobageユーザーにとっても、開発者の工数削減により、将来的にはタイトル増などの利点が見込めるという。「ユーザー、開発者、ミクシィ、DeNAの4者にメリットがある」(守安氏)
基盤はMobageのプラットフォームをベースにしたものとなる。開発はDeNAが中心となる。直近の決算ではガイドライン対応で減少したとは言え、ソーシャルゲームでの売上は小さくない。ミクシィはその事業に注力せず、自社ではコミュニケーションのための機能の拡充に注力していくという。「このアライアンスを通じてゲーム事業もより大きく、ユーザーにとって楽しめるものになると考えている。また我々はmixiが手掛けてきたコミュニケーションの部分をよりパワフルに展開できる」(ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏)
ソーシャルゲーム業界といえば、2大プラットフォームであるDeNAとグリーがしのぎを削っているところ。先日も「一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)」の設立に際しては、その主要メンバーであるグリーがほぼ同時刻にヤフーとの提携を発表。翌日にはDeNAがこれまでのヤフーとの提携関係を強化する旨を発表するなど、その“不仲”も表面化しつつある。
こういった背景もあり、同日開催された記者会見ではミクシィがDeNAと独占的な提携をするのかといった質問が出たが、笠原氏は「GREEは非常に優秀なプラットフォームであり、デベロッパー。可能性は広くあると思っている。だがまずはMobageとがっちりやっていくこと。今回のアライアンスをしっかりとやる」と回答するにとどまった。また、プラットフォーム共通化をどちらから提案したのかという質問に対しては、「もともとmixiゲームやコマースで協業してきた中でどちらともなく(プラットフォーム共通化の話が出た)。ただ、具体的な話は割とすぐ発表を迎えた」(笠原氏)とした。
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