コンピュータ業界の有力企業によって、「USB 3.0」規格のデータ転送速度は現在の1秒あたり5Gビットから、その2倍、すなわち10Gbpsにまで引き上げられようとしている。
これが実現されれば、外付けのSSDストレージ機器における転送速度のボトルネックが解消され、セカンドモニタといった選択肢が可能になるとともに、より高速な「Thunderbolt」インターフェースさえもハイエンドのニッチ市場に追いやられるようになるはずだ。
ただし、今すぐに実現されるというわけではない。USB 3.0 Promoter Groupは、米国時間1月6日に「International Consumer Electronics Show(CES)」において、より高速なUSB規格の策定作業状況を発表するとともに、その仕様は2013年半ばに完成するはずであり、同仕様に基づく「最初の製品は2014年遅くに市場に登場し、2015年には製品の選択肢がさらに広がることになる」と述べている。
USB 3.0 Promoter Groupの参画企業にはHewlett-Packard(HP)やIntel、Microsoft、ルネサスエレクトロニクス、ST-Ericsson、Texas Instrumentsが含まれている。この組織が強い影響力を有していることは間違いないものの、短期間でエレクトロニクス業界全体を新たな規格に移行させるのは容易ではない。「SuperSpeed」とも呼ばれるUSB 3.0の仕様は2008年に策定が完了したものの、2012年にIntelのハードウェアにおける標準部品となり、普及するまでには4年の歳月が必要となった。
倍速化されたUSB 3.0インターフェースを最大限に生かすには、コンピュータやハブ、デジタルカメラといった機器に新たなUSB制御ハードウェアが搭載されていなければならない。しかし、USB 3.0の新たなバージョンは同じコネクタを採用しているため、高速版のポートに既存のUSB機器を接続することも可能となっている。
既存のUSB 3.0ケーブルは使用できる場合もあれば、できない場合もあるという。USB 3.0 Promoter Groupは「既存のSuperSpeed USBケーブルが10Gbpsで動作すると保証されているわけではない。既存のSuperSpeed USBのなかには、10Gbpsで動作するものもあるだろう」と述べている。
一方、現在のところ利便性とパフォーマンスという点で有用な選択肢となっているThunderboltにも良いニュースがある。Thunderboltの各ポートには10Gbpsのチャネルが2レーン搭載されており、複数のThunderbolt機器をデイジーチェーン接続することができる。また、オプティカルThunderboltケーブルの登場によって、その利便性は拡大している。さらに、Thunderboltの高速版に向けたIntelの計画により、同規格の将来はより明るいものとなるだろう。
ただし現在のところ、ThunderboltはApple製品を別にすればパーソナルコンピュータの世界では実在しないも同然であり、ケーブルもいまだ高価である。USBは必需品であるものの、Thunderboltはぜいたく品にとどまっているのである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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