LINE、パズドラ、モバマス--ゲームメディア編集者が見たモバイルエンタメの1年 - (page 2)

 スマートフォンが若年層にも普及しつつある昨今、コンシューマゲームとの食い合いも話題として挙がるが「スマホゲームやっているからコンシューマゲームをやらないという人はいないし、コンシューマゲームやっているからスマホゲームをやらないという人もいない。うまく共存していくと思う」(目黒氏)としながらも、この1年で、スマートフォンゲームのビジネスモデルは有料アプリとするよりも、無料で配信して運営などで継続率を上げる形でしか、大きな利益を得ることができないとメーカーが気づいた年だったと目黒氏は指摘。

 その中で生き残るには宣伝の力は必要だとしつつも「フリーミアムだから誰でも遊べるけど、つまらなかったら10秒でやめてしまう世界。面白さもそうだし、序盤でいかに引き込むかというゲームデザインや作り方も意識して、さらに長く遊んでもらうための運営も全力で臨まないといけない世界になる」(目黒氏)。その観点でいくと体力がありいろんなことができる会社が有利となるが「メディアにしてもユーザーにしても面白いものに飢えていると思うし、まだまだ一回遊ばせて魅了する切り口があれば、まだまだ可能性がある」(土本氏)。

目黒輔氏
目黒輔氏

 目黒氏が振り返った1年は「パズドラとなめこ一色だった」と、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」と、ビーワークスの「おさわり探偵 なめこ栽培キット」を挙げた。なめこに関してはアプリの域を超えて、グッズ展開でも高い人気を誇っている。黒川氏はなめこの人気について「アーケード用のプライズになるということは、ブレイクスルーになる」とコメント。スマートフォンのIPが花開いた年だと振り返った。

 パズドラに関しては「どれだけ推すんだと言われそうだが、パズドラ抜きでは語れない1年」と、2月に配信され今でもトップセールス1位に君臨し続け「ここまでモンスター級のタイトルはそうそう生まれない」と目黒氏は語った。この配信時期はカードバトルのソーシャルが全盛期。「こちら(ソーシャルゲーム)に舵を切ったメーカーもいると思うが、パズドラの登場により面白さを追求したゲームでもヒットしビジネスになるという、ゲームメーカーや開発者に光をもたらした。ゲーム業界を盛り上げるメディアとしても嬉しかった」と評価。黒川氏もパズドラのリリース以降、コンシューマゲームメーカーが持っている良さや面白さを突き詰める姿勢、培ったナレッジを活かしたタイトルがリリースされている流れがきているという。

 さらに目黒氏はパズドラだけではなく、ガンホーそのものを評価したいと切り出した。スマートフォン向け「ケリ姫クエスト」や「CRAZY TOWER」もヒットしているが、これらに共通するオリジナリティと面白さを追求していく姿勢があり、それが「また何か新しくて面白いゲームを作ってくれるんじゃないかというワクワク感がある」(目黒氏)。黒川氏も前回の黒川塾でガンホーの森下社長らが登壇し、いいものを作るために妥協しない姿勢や、KPIを設定せずに面白いものを作り出すことに対して感銘を受けていたことを踏まえ、最終的には、エンタテインメントの未来を考える大賞はガンホーという形で落ち着いた。

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