AppleのiPad miniの発売で、GoogleのNexus7と合わせ、7インチの小型タブレット市場が盛り上がっている。12月18日にはこの市場に、1万5800円という驚くべき低価格でAmazonのKindle Fire HDが殴り込みをかけた。
一般メディアではそのビジネス的側面が、テクノロジー系メディアでは技術的側面が強調されがちだが、タブレットは「Content Consumption Device」という呼び方がされることから分かる通り、第一にコンテンツを楽しむためのもの。そこで「コンテンツの買いやすさ、楽しみやすさ」という観点から、メジャーなタブレット3種類を、実機で評価してみた。(写真:三台を並べたもの)
本論に入る前に基本的なスペックを確認しておこう(表1)。なお、この表に掲載していないモデルとして、1万2800円と低価格のKindle Fireがあるが、本稿では割愛した。
実際に使ってみての印象を以下にまとめた。
それぞれデュアルコアやクアッドコアを採用しているが、あえて表では触れなかった。それだけを取り出しても製品トータルの処理速度が分かるわけでもないからである。使ってみた限りでは、どの製品も十分高速だ。特に昨年ごろに販売されたAndroidタブレットを購入した既存ユーザーは、かなりの性能向上を体感できるだろう。
画面のサイズはiPad miniが最大だが、解像度は3台のうちで一番低い。単体で見ると気づかないが、他2機種と並べると、やや画質が劣る。これはiPhone4/4s/5やiPad(第3世代以降)で採用されている超高解像度のRetinaディスプレイを用いなかったことによる。これが気になるかどうかは、利用するアプリケーションやコンテンツ次第だ。
静止画ではそれほど差は感じないが、動画についての画質は、Kindle Fire HDが図抜けている。色のダイナミックレンジが広く、コントラストも高い。黒は黒、赤は赤、とはっきり表示され、高品質のソース動画を見ると、息を飲むほど。解像度ではKindle Fire HDと同等のNexus7は、色の表示に深みがなく、一言で言って安っぽい。iPad miniは標準的。
Kindle Fire HDは画質だけでなく、液晶端末でもっとも気になるグレア(反射)も抑えられていることも印象的だ。液晶に直接偏向フィルターとタッチパネルを貼り付けた反射防止構造によるものらしい。ほとんど反射のないKindle Paperwhiteなどの電子ペーパー端末とは比べるべくもないが、白バックで電子書籍を読むときなどにはありがたい。
3機種の中で最も軽く、薄いのがiPad mini。全体的な作りもほかのアップル製品と同じく、芸術的な繊細さを感じさせる。ただその反面、すべりやすく、落として壊しやすそうなのが難点か。幅が広いこともあって、電車などに持ち込んだとき、特に女性の手の大きさだと、片手で持つのはやや辛いかもしれない。
もう1つ注目したいのが画面の外の枠(リム)。この幅がiPad miniは極めて狭く、その次に狭いのがNexus7。この2機種と比べるとKindle Fire HDはリムがかなり広いが、その分、両手で持ったときに画面に触ってしまうことが少ない。ただしこのリム部分がKindle Fire HDは滑りやすいのはマイナス。
またiPad miniはリムが狭いため頻繁に画面に触る形となるが、画面周辺部のタッチの感度がうまく調節されており、間違って触ってしまっても誤操作となることは少ない。慣れの問題ではあるが、Kindle Fire HD、Nexus7ではタッチパネルのリムに近い部分を触って誤操作してしまうことがiPad miniより多い。
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