カカオトークの戦略--ヤフーとの連携強め「LINE」と差別化

 無料通話・メールアプリ「カカオトーク」を提供するカカオジャパンは12月11日、事業戦略発表会を開催し、10月に資本、業務提携したヤフーとの取り組みや、日本で先行公開する新サービス「トークPlus(トークプラス)」、12月13日より放送する新TVCMなどを紹介した。

  • 無料通話・メールアプリ「カカオトーク」

 カカオトークは韓国のKAKAO Corporationが2010年3月に提供を開始したスマートフォン向けの無料通話・メールアプリ。動くスタンプ(絵文字)を投稿できる機能や、自分の声をキャラクターの声に変換して通話できるボイスチェンジャー機能などの独自機能がある。テーマを変更してトークルームの背景やアイコンをカスタマイズすることも可能だ。

 現在は世界で累計7000万ユーザーに利用されており、特に韓国では圧倒的なシェアを誇る。月間のアクティブユーザーは2750万人で、1日にやりとりされるメッセージの数は最大42億件にのぼるという。

 韓国ではすでにカカオトークと連動したサービスも多数提供されている。たとえば3月に公開したマイクロブログ「カカオストーリー」は3000万ユーザーに利用されているほか、ゲームサービス「カカオゲーム」は8月のサービス開始から約3カ月で月間売上が30億円を超えているという。

  • 「カカオトーク」のユーザー数推移

  • 「カカオトーク」の利用状況

  • ゲームサービス「カカオゲーム」の月間売上高

 日本では2012年10月にヤフーとの資本・業務提携を発表。カカオジャパンをKAKAO Corporationとヤフーの合弁会社とし、カカオトークを日本国内で共同展開していくことを発表した。11月には最大で5人まで同時に利用できる無料グループ通話機能を日本で先行公開している。

 同日の発表会で登壇した、カカオジャパン非常勤 取締役であるヤフー CMOの村上臣氏は、4月の新体制以降、ヤフーとして「スマホファースト」を掲げてさまざまな事業に取り組んできたとする一方で、「ヤフーがいままで弱かったと反省しているのがスマホ領域でのコミュニケーション」とコメント。7000万人のユーザー基盤や独自の通信技術を例にあげ「カカオジャパンは最良のパートナー」と説明する。

  • 新サービス「トークPlus」。当初はヤフーのサービスと連携

 日本で先行公開する新サービス「トークPlus」は、カカオトークのトークルーム内でパートナー企業のアプリやウェブサービスの機能を使えるようになるサービス。たとえば複数人でチャットをしながら飲食店を探す際などに、路線検索の結果や待ち合わせ場所の地図情報を共有できるようになるという。

 年内の提供を予定しており、当初はヤフーの提供する「乗換案内 Yahoo!ロコ」「Yahoo!ロコ地図」「Yahoo!ボックス」と連携。また、2013年中に「Yahoo!オークション」や「Yahoo!ショッピング」とも連携する。外部パートナーのサービスでは、撮影した写真を漫画風に加工できる「漫画カメラ」や、顔文字素材アプリ「顔文字くん」、性格診断アプリ「ココロサプリ」などと連携する予定だ。

 さらに、今後は「Yahoo! JAPAN ID」や「Yahoo!ポイント」をカカオトークと連携させるほか、決済手段として「Yahoo!ウォレット」を導入する予定。プロモーションにも注力し、12月13日から土屋アンナさんと劇団ひとりさんを起用したTVCMを放映するほか、交通広告なども積極的に展開していく。

  • 左から、カカオジャパン代表取締役の朴且鎮氏、CMに出演する土屋アンナさん、ヤフー CMOの村上臣氏

 カカオジャパン代表取締役の朴且鎮(パク・チャジン)氏は、1対1のコミュニケーションを主眼に置いている無料通話・メールアプリが多い中、カカオトークでは複数人によるコミュニケーションや、そこから生まれる購買活動を促進してきたと説明。今後も日本でのサービスや機能を拡充させることで「2013年中に3000万ダウンロードを目指す」と意気込む。

 ところで、世界で累計8000万ユーザー(11月30日時点)を抱える「LINE」が、国内では急成長した。LINEへの対抗について村上氏は「我々としてはみんなで使うコミュニケーションのスタイルからの拡張を考えている。他社は1対1のコミュニケーション、いわばSMSの置き換え」とスタンスの違いを強調。日本におけるスマートフォン普及率は30%程度と説明し「まだまだ70%の余地がある。各社の現状を理解して戦略を進める」とした。

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