重要な言葉が出てきた。「協力」だ。それは、ほかのチームのプログラムを使おうとすることから、競合プラットフォームでほかの部門が製品を発売する時に、その妨げにならないようにすることまで、あらゆる意味になり得る。
Sinofsky氏は、物事を自分のやり方で成し遂げる人物として、Microsoftの社内外で知られている。Sinofsky氏がより多くの事業部門を自分の下に置こうと画策しているといううわさは、たびたび聞こえてきた。そして最近までは、Microsoftの経営幹部チーム、そしてBallmer氏その人も抵抗せず、Sinofsky氏は自らが適切と考える、あらゆる経営上の意思決定を行うことが許されていたように思えた。その決定に反対した人々は、同社を去るか、退職を促された(それらの人々はおそらく戻って来ないだろう。絶対にないとは言えないが)。
しかし近頃は何かが変わったようだ。それは言葉遣いからも分かる。Ballmer氏が社員に送ったSinofsky氏の退職についての言葉では、Sinofsky氏の後任であるLarson-Green氏の持つ「効果的に協力し、全社的な計画を推進する能力」が強調されている。筆者は組織改編が近いように感じている。
「ほかのメンバーとうまくやれない」という理由が、本当にSinofsky氏の退職の大きな要因であるとしたら、同氏を押しのけた「ほかのメンバー」とは誰だろうか。Microsoftの大きな部門のトップで残っているのは、次の通りだ。
もう1つ疑問がある。誰が新しいWindows担当プレジデントになるのだろうか。Larson-Green氏とReller氏はどちらも、プレジデントの肩書きは持っていない。社内あるいは社外の誰がその役割を担うのだろうか。
今となってみれば、最近の不可解な出来事も納得できる。Microsoftが10月末に開催したBuild 2012カンファレンスで、最初の基調講演が始まる前にSinofsky氏が観客席に座っていたのはなぜだろうか。その直後、意外なことにBallmer氏が登壇して、Windows 8のデモを行った(Ballmer氏がそうするのは珍しいことなのだが、非常にうまくやっていた)。10月26日のWindows 8発売の時に、Sinofsky氏のパフォーマンスがいつもとは違い、機械的で活気がなかったのはなぜだろうか。Windows 8の発売直前に予定されていたSinofsky氏の記者会見が、かなり間際になってからキャンセルされたのはなぜだろうか(筆者は参加予定者(多いにせよ少ないにせよ)の1人ではなかったが、そういうことがあったとほかの人から聞いた)。
Microsoftには、取締役会に求められない限り、しばらくはどこにも行くつもりのないCEOがいる。これを良いと思うか悪いと思うかはそれぞれの考え方次第だ。Ballmer氏は最近The Wall Street Journalに対して、自分が「価値を高め続ける限り、あるいはもっと優れた人物が現れて職を引き継ぐまで」CEOの職にとどまるつもりだと語っている。その職を引き継ぐ可能性を持つ社内の候補者が、これからは1人少なくなる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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