Squareは、同社より先に登場したほかのあらゆる新興企業と異なる。そして、拡大を続ける同社の影響力と規模は必然的に、起業家が自社を経営する方法と、ベンチャーキャピタリストが投資をする方法に変化をもたらすだろう。
Squareが勢いを増しているのは確かだ。しかし同社は成長をさらに加速させようとしている。Starbucksが膨大な数の消費者の前に、Squareのテクノロジを設置する戦略的投資を行っているためだ。そしてStarbucksのおかげで、Squareの売上高と価値は急上昇しようとしている。
Squareのことを「シリコンバレーの次の偉大な企業」と呼ぶ専門家が増えているのは、おそらくそのことが理由だろう。この非公式の呼び名は、かつてIntelやApple、Facebook、Googleが保持していたものだ。もちろん筆者はその評価に異論を差し挟むことはできない。実際のところ筆者が主張したいのは、ほかの潜在的なライバルたち、つまりTwitterやPinterest、Dropbox、Uber(TumblrやSpaceX、foursquareもシリコンバレーの企業であればこのリストに追加されるだろう)などは、Squareのように明確なビジョンを持つ創設者、組み込みと拡張が可能なビジネスモデル、巨大な市場潜在力、という強力な組み合わせを備えていないということだ。
これら3つの特徴(明確なビジョンを持つ創設者、分かりやすいビジネスモデル、巨大な市場)は、次の10億ドル規模の企業を探し求める投資家にとって、かつてないほど重要になりつつある。Andreessen Horowitzは記録的な早さで一流のベンチャーキャピタル企業になった。その理由の1つは、同社が創設者を最高経営責任者(CEO)にすることを得意技にしたためだ。そしてFacebookやZynga、また広告をベースとするほかの同種のテクノロジ企業がウォール街で苦戦していることから、拡張可能なビジネスモデルの発見がかつてないほど重要になっている。
Squareの台頭は、ますます多くの新興企業が採用しているモバイル中心のアプローチの妥当性を証明するものでもある。GreylockのJosh Elman氏は、「Squareのおかげで、モバイル第一という考え方の価値を誰もが理解できるようになった。モバイルは消費者だけの現象ではない。スモールビジネスがモバイルでより大きな成功を収められるように支援することは、巨大なビジネスにもなり得る」と述べた。
これは、デザインとユーザビリティを第一とするDorsey氏(SquareのCEO)のアプローチの妥当性を証明するものでもある、とNorwest Venture PartnerのJosh Goldman氏は言う。「消費者と商店の両方の視点から見て、Squareの製品体験は非常に革命的で、実用性とユーザビリティも大幅な進化を遂げているため、寄せられる関心は極めて大きい」(Goldman氏)
Googleはウェブ広告を一変させた。それは成長を第一に考え、売上高を第二に考える新種の広告支援型新興企業が登場する下地を作った。この種の広告支援型新興企業の一例であるFacebookは、今日の新興企業の大半(Pinterest、Tumblr、Zyngaを含む)を駆動するエンジンを迅速にソーシャル化した。それは、Facebookが2008年に「Facebook Platform」を発表した後に特に顕著だった。
新興企業のエコシステムにおけるSquareの役割は、どのようなものになるのだろうか。Squareはデザインやモバイル、組み込み型の売り上げモデルに注力するにとどまらず、多くの新興企業が収益化を図るプラットフォームにもなるのではないか、と筆者は思う。同社が世界中で決済の簡素化を目指す取り組みを続ける中で、決済を扱う世界のほかの新興企業を買収し始めるときが来るとしたら、特にその可能性が高くなるのではないだろうか。
多くのシリコンバレー企業がウォール街で苦戦してきたことを考えると、収益化に力を注ぐのは良いことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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