米国テネシー州にあるオークリッジ国立研究所のスーパーコンピューター「Titan」が、最新版「TOP500」の首位の座を、同じく米国のローレンスリバモア国立研究所の「Sequoia」から奪い取った。なおTitanにはNVIDIAのグラフィックプロセッサと、Advanced Micro Devices(AMD)のコンピュータチップが搭載されている。
IBMのプロセッサを搭載しているSequoiaは2012年6月、16.32ペタフロップス(1ペタフロップスは毎秒1000兆回の浮動小数点演算を実行する速度)のパフォーマンスを達成し、TOP500の首位を飾った。そして今回、Titanが17.59ペタフロップスを達成して首位に立ち、Sequoiaは2位に転落した。
Cray製のTitanは、米エネルギー省の研究所ネットワークの一部としてテネシー州で稼働している。今後、学術研究機関や政府の研究所、さまざまな業界の研究者たちが、気候変動や代替燃料といった研究にTitanを使用できるようになる。
Titanは、ビデオゲームで一般的に使用されているディスクリートグラフィックチップ、すなわちGPUと、標準的なマイクロプロセッサを組み合わせた新しいタイプのシステムである。Titanの場合、GPUはNVIDIA製、そしてCPUはAMD製となっている。グラフィックチップは数多くのタスクを同時に処理できるため、スーパーコンピュータにおける大量の数値計算処理を高速化するという目的で用いられている。また、グラフィックチップを併用することで、CPUのみを使ってスーパーコンピュータを構築した場合に比べると消費電力を少なくすることもできる。
年に2回発表されるTOP500リストに入っている他の多くのマシンもGPUを採用している。今回発表された内容によると、同リストに入っているマシンのうち、62のシステムがアクセラレータ/コプロセッサテクノロジを採用しているという。6カ月前には、こういったテクノロジを採用しているシステムの数は58にすぎなかった。
今回首位を飾ったマシンはAMDプロセッサを搭載しているものの、同リストに入っているその他のシステムのほとんどにはIntel製チップが使用されている。その割合は、正確には76%という高い値になっている。また、Intelの新しい「Many Integrated Core」(MIC)というアーキテクチャは、テキサス大学オースティン校のテキサス先端計算センターに設置されているDell製の「Stampede」を含め、複数のマシンで採用されている。なお、Stampedeは10位圏内に入っている。
上位5位の残りは、3位が独立行政法人理化学研究所の計算科学研究機構(神戸)に設置されている富士通の「京」、4位がアルゴンヌ国立研究所に設置されているIBMのBlue Gene/Qシステムの「Mira」、5位がドイツのユーリヒ総合研究機構(FZJ)に設置されているIBMのBlue Gene/Qシステムの「JUQUEEN」となっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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