若手起業家は異質なものを理解し、違う考えを受け入れよ――平松庚三氏

岩本有平 (編集部)2012年11月07日 17時00分
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 同意はしなくていい。だが異質なものを理解し、違う考えを受け入れよ――小僧com代表取締役会長兼社長でcrewwのアドバイザーを務める平松庚三氏は50人の若手起業家に向けて呼びかけた。

 スタートアップとファンを繋ぐイノベーションプラットフォーム「creww」を運営するcrewwは11月5日、スタートアップの起業家50人を集めた交流会「THE 50 2012」を開催した。冒頭には小僧com代表取締役会長兼社長の平松庚三氏と、タイムアウト東京代表取締役の伏谷博之氏が起業家に向けて20分ほどのスピーチを行った。ここでは平松氏のスピーチを紹介する。


小僧com代表取締役会長兼社長の平松庚三氏

 これまでAOLジャパンやIDGジャパン、弥生、ライブドアなどの社長を経験し、現在は自身が立ち上げた小僧comの代表を務める平松氏は現在66歳。60歳になったタイミングで、3つの目標を立てたという。

 まず1つめは「起業家として会社を立ち上げる」ということ。これまでヘッドハンティングを通じて社長に就いていたという自身の経験を振り返って「それはそれでチャレンジになる」(平松氏)とした上で、「1から起業家としての挑戦をしたい」と考えたのだという。2つめは「宇宙に行く」ということ。すでに宇宙旅行ビジネスのVirgin Galacticに代金を支払っており、サービスの開始を待つばかりなのだそうだ。そして3つめは「農業を極める」。すでに群馬で農業に従事しているそうだ。「僕らが生きるには、水と空気に加えて『夢』が必要だ」と語る平松氏。起業家に対しても夢を持つことの重要性を説く。

 ではその夢を実現し、企業を成功に導くのために求められるのはどういう事なのだろうか。平松氏は「自分自身のマーケティング」が重要だと語る。

 自分自身のマーケティングといっても、「自分をいかにプロモーションするか(よく見せるか)」という意味ではない。「自分をプロダクトとして考えたときに、どのようにしてその価値を高めるのか」こそが重要だ。平松氏は「雇われ社長として、企業の価値をどう高めるかをやってきた。企業のKPIであれば株価とその発行部数で計算できるが、自分の商品力をどうするかは今でも悩み、勉強している」と自身を振り返って語る。

 企業の価値を上げるという意味では、自身が関わってきた会社について、途中で買収されて社長を退いた1つのケースを除いてすべて成功させてきたと語る平松氏。その理由について、「運が続いた」と語る。

 平松氏の語る「運」とは何なのか。それは人、チームに恵まれた事だという。いい人材と一緒にチームを組めた運こそが、成功の理由だ。

 平松氏の言う恵まれたチームとは、決して気が合うメンバーということではない。「仲がいいから生まれるケミストリーも大切だが、例え気が合わなくても自分にないものを持っている人と組めるかが重要。それぞれの役割をする人たちがいるからこそいい」(平松氏)

 これまで、企業の立て直しのためにリストラにも着手した平松氏。しかしたとえ1000人を800人まで減らしても、20人ほどは新たに人材を採用して経営陣を中心に「血の入れ替え」をしたのだという。

 この際に同氏が決めた条件があるという。1つは「部門部門について、自分より優れていること」。自分が持っていない才能こそ買って、社内に引き入れるべきだとした。そしてもう1つは「必要なときにノーと言える人」だ。本当に重大な決断について何でも賛成するのでなく、ディスカッションできる人は重要だとした。

 平松氏は最後に、「まだまだファーストステージにいるかも知れないが、次のステージに行くたびに悩みが出てくる。だが、異質のものを理解し、違う考えを受け入れる。同意はしなくていい。だが経営で最も大切なのはいろいろなキャラクターがあること」と会場に集まった起業家に呼びかけた。

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