LINEを担当するエンジニアの齋藤超氏は、フィーチャーフォン向けLINEの開発から始まり、LINE全体での絵文字相互変換機能やスタンプ送信機能の開発を担当。直近ではLINEサーバの友達管理機能の各種ロジック改善を行っている。
開発の現場にいる齋藤氏にクリエイターに求められることを聞いた。同氏によれば、サーバ側、クライアント側のストレージ部分でさまざまな言語が使われているが、ユーザーの増加にともなって適切にスケールアウトできるようなストレージ群を構築できることが重要だという。ストレージに限らず、ユーザーの増加に対応できるサービス構築が必要なので、スケーラビリティに関する理解が必要だ。
また、ひとつでも得意な技術があること、そしてその得意な技術とそれに隣接したレイヤーを含めた設計と実装ができることが重要だという。たとえばストレージ技術を得意とするなら、そこにアクセスするメインロジックの設計も考えられる、サーバ側が担当であっても、クライアント側とのデータフローも含めて設計できることが大切だ。
ほかにも、言語によらない部分で、ドメインロジック(ビジネスロジック)の設計と実装のスキルが重要になる。LINE全体での整合性を考慮して設計・実装できるよう、仕様を広範囲に見渡して把握できることも必要なスキルのひとつ。LINEの開発は長期的なものになっているで、他人が見ても分かりやすいコード、テストしやすいコードを書けることも要求される。
余談だが、こんなエピソードもあったという。2011年10月に香港でLINEが話題になった時、1日だけで35万人以上のユーザー登録があった。その日は開発チームでワークショップを開催する予定だったが、予期せぬユーザーの増加に対応するためにワークショップ参加を諦めてサーバ強化にあたったメンバーが大勢いたそうだ。
また、マスコットのぬいぐるみやストラップが作られたり、版権キャラクターのスタンプが日に日に増えたりと、自分たちの予想を越える速度でLINEが成長していくことに驚かされているという。予測不可能な事態にも柔軟に対応できる、フットワークの軽さが求められるのは、急成長しているLINEならではだ。
これまでは社名よりもハンゲームなどのサービス名が先行し、会社としての知名度は決して高くなかったというNHN Japan。しかし、LINEがこれほどまでにヒットし状況は変わりつつある。同社で働くことを希望するクリエイターも増えているであろう現状において、「NHN Japanのクリエイターになることは難しいのか」と思いきって聞いてみた。
自身も採用選考を受験した松本氏は「難しくはないが、簡単ではない」と答える。それはいままさに会社のスピード、クリエイターに求められるスペックが上がってきているまっただ中にあるからだという。「1000万ユーザーのゲームよりも、1億ユーザーのゲーム開発が求められる」(松本氏)。
NHN Japanはいま二次関数的な加速度で成長している。3カ月後にクリエイターにどのようなスキルが求められるかは、現場で働く社員にも分からない。池邉氏は「(入社するなら)いまのうちですよ」と冗談交じりに話す。
NHN Japanでは、自社、そして業界の変化をストレスと思わずに楽しめることが素養として求められる。落合氏も「この規模で、これほどのスピードで成長できる会社はほとんどないのではないか。MBAのようにお金を払うのではなく、お金をもらいながらこれだけ学んだり経験を積める環境に身をおける会社はないと思う」と確信の表情で語った。
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