代替タブレットが非常に魅力的だったのは、iPadの最も安いモデルよりもさらに200ドルか300ドル安かったからだ。しかし今、価格の違いは大幅に小さくなった。
iPad miniは、Appleのライバルにとって命取りにはならないものの、その価格設定は、そうした低価格の選択肢から顔を背けるのに十分なほど魅力的だ。一部のアナリストらは、iPad miniは、既に大型のiPadを所有している家族に人気になるとしている。より価格が手ごろなiPad miniは、2台目のタブレットとして家庭で使われるようになるというのが、アナリストらの考えだ。
タブレットへの需要はこの数年で既に急増しており、iPadがそれに拍車をかけている。Deloitteによれば、タブレットの普及率は米国で27%に達しているという。
Appleでマーケティング責任者を務めるPhilip Schiller氏は、iPad miniをライバル製品と比較する際に一切手加減しなかった。
Schiller氏は、「ほかの企業はより小型のタブレットを作ろうとしてきたが、失敗している」と述べてから、Nexus 7の写真を見せた。
7.9インチという大型のディスプレイがありながら、サイズは小さくなっていることで(これはより薄型のデザインと、狭いベゼル幅によって実現している)、iPad miniはより見やすくなっているとSchiller氏は述べた。
Appleの最大の強みはそのアプリだ。App Storeには、70万件もの「iOS」アプリと、27万5000件のiPad専用アプリがあって、iPadをライバル製品よりもはるかに多目的なものにしている。
今タブレットを買おうとしている消費者は、今でもその圧倒的多数がiPadを検討している。ChangeWave Researchが最近実施した調査によると、タブレットを今後90日以内に買おうとしているとした人の65%が、iPadを検討していると答えた。一方、次に人気だったNexus 7は12%だった。iPadをほしがっている人々のうち、12%がiPad miniを考えていると答えた。
Appleの329ドルという開始価格は、同社がまだそこから利益を上げる気があることをはっきり示している。
当たり前のことに聞こえるだろうか。しかしAppleのライバル企業の中には、そうした戦略を採っていないところもある。AmazonがKindleブランドの電子書籍リーダーとタブレットを原価に近い価格で販売し、最低限の利益か、あるいは損失を出しながらなんとかやっていることは良く知られている。それはAmazonが、長期的には商品や電子書籍の販売で稼げることを理解しているからだ。
同様に、GoogleがNexus 7を販売しているのは、それが利益をもたらすからではない。同社のコアビジネスである、検索結果でのディスプレイ広告から上げている多額の利益と比べれば、Nexus 7からの利益は極めて少ない。そしてGoogleは自社のタブレットに積極的な価格設定をすることで、市場での足がかりを得ている。
しかしサムスンは、Appleと同様に、ハードウェア販売から利益を上げており、非常に多くの選択肢を提供している。しかしそのハイエンドタブレットが直面しているのは、成功と失敗の入り交じった状況に過ぎず、特に米国での売れ行きは思わしくない。結局のところ、同じような価格のiPadでより多くのことができて、より多くのアプリを使えるのなら、どうしてハイエンドのタブレットを買うだろうか。
Amazonが2011年に199ドルのKindle Fireを発表した時、消費者の心をとらえたのはそこに理由がある。同社は、タブレットの価格に対する期待に変化を起こし、低価格の小型タブレットの波を引き起こした。独自の路線を進むことで昔から知られているAppleも、その波に乗らざるを得なくなった。
OvumのアナリストのAdam Leach氏は、「Appleは近年では初めて、ライバル企業からの市場圧力に対応している。これはAppleの経営方針の根本的な変化を反映している」と述べている。
より確かなことは、この製品に対する需要があることだ。小型のiPadは、タブレットマーケット全体に大きく貢献する可能性がある。IHSは、iPad miniだけで、2012年から2013年にかけて7インチタブレットの市場を2倍にすると予想している。
近年のApple製品のほとんどが、発売の際に大きな興奮を巻き起こしてきた。iPad miniがその伝統から外れることはないだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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