Onlab5期生のデモイベント開催--スマホ向けサービスからハードまで6チームが登場

岩本有平 (編集部)2012年10月17日 16時43分

 Open Network Lab(Onlab)は10月16日、同社のインキュベーションプログラム「Seed Accelerator」第5期生によるデモイベント「Open Network Lab 第5期 Demo Day」を開催した。

 Onlabが手がけるSeed Acceleratorは、最大3名までのチームを3カ月の育成期間を通じて支援するというもの。これまでにソーシャルギフトサービスの「giftee」や位置情報を使ったマッチングサービスの「Wondershake」などを輩出してきた。

 Onlab取締役の前田紘典氏は、5期のメンバーについて、「非常にバラエティ豊か。元大企業出身者なども多く年齢層が高め。だが、『この人でないとできない』というチームが多い」と語る。ここからはデモを行った順にプログラム採択チームを紹介していく。

WHILL:WHILL type-A

 WHILLでは、足の不自由な人や高齢者の利用を想定したパーソナルモビリティーを開発している。ソニーやオリンパス、電通などで経験を積んだメンバーが集まっている。

 東京モーターショウでは、市販の車いすに着脱することで、車いすを電動化するコンセプトモデルを発表。19カ国40社がディストリビューターとして名乗りを上げたという。

 第1弾として販売するのは、モーターショウでお披露目された着脱式モデルではなく、座席、モーター、車輪が一体型となったモデルの「WHILL type-A」だ。シニアカーの規格に合わせることで、歩道での走行を実現し、保険適応による購入補助が適用できるようにするという。製品は12月上旬より100台限定で受注販売する。価格は1台50万円を予定する。また、製品の販売に先駆けて、クラウドファンディングサービスの「CAMPFIRE」で100万円以上を集めた。

スパルタ:Sparta

 コンピューターグラフィックスで利用する三次元の座標を持った「粒」であるポイントクラウド。取り扱うにはプログラミングの知識が必要となるこのポイントクラウドを、ペンタブレットで手軽に編集できるクリエーター向けソフトウェアが「Sparta」だ。2011年11月に無料版を公開。2012年9月には有料版を公開している。

 今後は編集(ソフトウェアのライセンス収入)、保管(ストレージの利用料)、共有(アセットストアの手数料)の3本柱でのマネタイズを進めるという。スパルタもWHILL同様、CAMPFIREにて資金を集めることに成功している。86人のパトロンから59万円を集め、うち43人が有料版を購入した。

アクトキャット:お願いカンパニー

 ユーザーが他のユーザーにやってほしい「お願い」を投稿すると、それに対する回答が投稿されるサービス。回答者は、質問者が設定したポイントを報酬として得ることができる。サービス開始から1カ月で2万8000人の会員を獲得している。

 競合サービスよりも案件が多いのが特徴だという。投稿は通常72時間掲載されるが、投稿から5分ほどで回答が投稿される事がほとんど。同社が実際にお願いを投稿したところ、33時間で38件の回答がついたという。

mashroom:mashroom.fm

 ギターやベースなど、自分が演奏したい楽曲の自分のパートだけをアップロードし、他のユーザーが別のパートをアップロードしていくことで、擬似的なセッションを実現できるサービス。

 現在では楽器メーカーや音楽業界との協力関係を強化しており、コルグのiPhoneアプリ「iKaossilator」との連携や、ソニーミュージックエンタテインメントの新人発掘プロジェクトとの提携など、10社以上と連携について話を進めているという。

ハングリー:スマクル

 スマートフォン向けの飲食店サイトを作成できるサービス。店舗の電話番号を入力するだけで、ウェブ上の情報を収集する。あとはテンプレートを選択し、テキストを編集すればサイトを公開できる。サイト公開までの作業はすべてスマートフォン上で完結する。

 また、スマートフォン上からの広告出稿も可能になるという。サービスは基本機能のみ無料で提供するフリーミアムモデルを採用。同社によると、1週間の営業活動で100店舗の導入を達成しているという。

Bepop:Jam

 友人をイベントや飲み会などに誘ったり、待ち合わせの予定を決めることができるアプリが「Jam」だ。アプリ上で閲覧できるイベントや展示会、レストランの情報などから自分が興味を持ったものについて、ワンボタンで友人を誘うことができる。

 通常友人を遊びに誘う場合、友人によってメールやメッセージングサービスなどを使い分けている事が多いが、同サービスのプラットフォームに一元化することで、気軽な遊びの誘いを実現するという。


WHILL CEOの杉江理氏

最優秀チームはWHILLに

 デモを行った6チームから最優秀チームに選ばれたのはWHILLだった。WHILL CEOの杉江理氏は、「Onlabで『なぜハードウェアなのか』ということを言われたが、ハードの流れは確実に来ている。『日本の物作りは終わった』という話が出ることもあるが、(自分たちが)製造業で働いてきて、もう1回あたらしい製造業の定義を作っていきたいと思う」と語った。


12月にも受注販売を予定する「WHILL type-A」

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