Appleは先週、新しい「iPhone 5」を発表し、いつものようにテクノロジ界を熱狂させた。
この魔法のように素晴らしいデバイスは、比類のない体験をもたらし、消費者に4インチディスプレイと4G LTE接続を提供する。それは、「Android」搭載スマートフォンユーザーならば2年近く前から利用できていた機能と言い換えることができる。そして、もちろん、米国においてはSprintまたはVerizon版のiPhone 5を手に入れた上で、音声とデータの同時利用を望まない限りはという機能だ。
ともかく、新しい「iPhone」はこれまであったデバイスに改良を施したものであり、Appleにとって良好な前進といえるだろう。そして、この数年間でわれわれが学んだことがあるとしたらそれは、iPhone 5が十分な販売台数を達成するのに、圧倒的で強力なハードウェアは必要ないということだ。専門家の言っていることが正しいとすれば、iPhone 5の販売台数は今四半期中に3500万~4000万台に達し、2012年中に5000万台を突破するだろう。
この数字を、サムスンが「GALAXY S III」の2012年における販売台数予測として先頃発表した3000万台という数字と比較すると、今もAppleの天下は続いており、GALAXY S IIIユーザーではないすべての人はAppleの世界で暮らしていることが分かるだろう。それとも、この考えは誤っているのだろうか。iPhone 5は、Googleの増大する勢いにどのような影響を及ぼすのだろうか。
話を進める前に、筆者は業界インサイダーでもなければアナリストでもない、ということを読者の皆さんに伝えておくべきだろう。とはいえ、筆者はAndroidとモバイル分野を注意深く観察し続けており、その過程でいくつかのことに気づいた。今後、業界に対するAppleの影響力は、新しいiPhoneをリリースするごとに少しずつ弱まっていくだろう、と筆者は推測している。それはAppleの行いが原因で起こるのではなく、むしろ、それ以外のあらゆる場所で起こることが要因となるだろう。
われわれが過去のiPhoneリリースで見てきたように、Appleはこれまで、新しい市場や通信キャリア、消費者にリーチを拡大することができた。米国では、われわれはもはや1つの通信キャリアに縛られておらず、VerizonとAT&T、Sprintが契約付きでiPhoneを提供している。この数カ月間のプリペイドに関するいくつかの発表と併せて考えると、Appleのリーチの広さを理解できるだろう。
ただし、周りを見回してみると、成長を続け、新しい顧客区分を開拓する余地はほとんどない。機能を減らした廉価版のiPhoneならば可能かもしれないが、実現する可能性は低い。また、T-MobileはiPhone 5の提供を強く望んでいるが、同社が多数の新規加入者をもたらすとは考えにくい。端的に言えば、木の下の方にぶら下がっていたリンゴは、もう摘み取られてしまっているのだ。
スマートフォン市場に参入しているほかの企業の製品が、時間の経過とともに進化していることも考慮しなければならない。サムスンは勢いを増し続け、LGはモバイルの限界に挑み続けている。そして、すべての企業が追いつこうとしている。確かに、Motorolaは2012年秋にあまりにも多くの「DROID RAZR」を発表してわれわれを困惑させたが、同時に全体的なリリース数は減らし、より消費者の立場に立った体験に注力しているようにも思える。
ほかの企業に目を向けると、ソニーの新しいモバイル機器が、ようやく米国で注目を集めるようになるかもしれない。また、HTCが現状に満足していないことは明らかだ。Androidという海には多くの船が進出しており、潮が満ちつつあるように思える。
2000年代初期にPCの世界で起きた現象と同じように、消費者はより賢くなっており、自分が購入するデバイスにより多くを求めるようになっている。人々がスマートフォン購入の決定を下す際に、搭載されたRAMやストレージの容量を尋ねるのは珍しいことではなくなっている。携帯電話は多くの場合、商品説明タグに書かれた項目に基づいて購入される。
とはいえ、消費者体験と使いやすさについて言えば当然、Appleが秀でている。Android陣営の各企業は顧客にとってより使いやすい機能を開発しようとしている。そして、Android 4.0および4.1の機能と美観を考慮に入れると、同プラットフォームを醜いと評することはほぼ不可能である。
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