サンフランシスコ発--新しいソーシャルネットワークを始めるなど、とんでもない考えだ。Facebookの株式公開は史上最悪だったし、Twitterの成長さえ鈍化している。
こうした考え方をするときに問題となるのは、そのようなソーシャルネットワークのライバルになるであろう「App.net」というサービスを立ち上げたサンフランシスコの起業家Dalton Caldwell氏が、初期的な成功を収めていることを全く説明できない点だ。
Caldwell氏は先週、当地のAirBnB本社で、200人を超す開発者で満員の聴衆を前にし、「皮肉な見方が広まっていることに本当にうんざりしている」と述べた。ほかのサービスの欠陥に文句を言うのではなく、よりオープンな代替サービスを作り出す時だと同氏は言う。
Caldwell氏はApp.netの計画を作り上げる際に、そうした企業を構築する方法についてのシリコンバレーの一般通念を意図的に逆転させている(米CNETによるCaldwell氏のインタビューを聞いてほしい)。
1つめは、登録するだけで最低でも年間50ドルかかることだ(このような料金は最終的にはなくなる可能性がある)。2つめは、App.netが、プライベートメッセージのような重要な機能が用意されるよりも前に、開発者に向けて公開されていることである。これは、Googleがいまだに外部のプログラマーには「Google+」へのフルアクセスを許可していないのとは対照的だ。3つめは、App.netは、プラットフォームプロバイダーとなることを目指していることだ。これは、顧客が何をしているかを心配しすぎることなく、サービスを順調に動かすことで収入を上げる、ソーシャルネットワーク版電力会社のようなものだ。
このような計画がうまくいくはずはない。しかし、うまくいっている。App.netは最近、1万2000人から80万3000ドルを集め、目標としていた50万ドルを軽々と上回った。しかしさらに印象的なのは、既に40本以上のモバイル版とデスクトップ版のアプリやユーティリティがあることだ。さらに、Python、PHP、Java、.NET、JavaScriptを含む、ほぼすべての主要な開発環境に対応した、コードの入力が簡単にできるフリーツールもある。
「多くの人々は理解していない、と私は思う」とCaldwell氏は述べる。これは、「プラットフォームと、プラットフォームの上に構築されたサイトとの違い」だ。
TwitterやFacebook、さらにはMySpaceの残骸と比べても、App.netの人気はごく小さい。その1組しかないサーバは、Justin Bieberのステータスアップデートをクリックする無数のティーンエイジャーが発生させる廃熱で動かせるようなものかもしれない。過去24時間のApp.netへの投稿数は約1万件しかなく、サービス開始以来では8万件だ。
しかし、タイミングは最高だ。FacebookとTwitterは、この2社の急激な成長を手助けした開発者をわざわざ遠ざけるようなことをしてきた。それは悪意ゆえではない。むしろ、ユーザーのために何でもそろうショップへと、ビジネスモデルが変化したことが原因だ。そこには、TwitterとNBCUniversalとのオリンピックに関する提携のような、大手メディアとの契約も関係している(言い換えれば、投資家が通貨危機を心配するように、アプリの開発者はプラットフォームについてのリスクを抱えている)。
例えば米国時間8月16日の午後、Twitterは「HootSuite」「Tweetbot」「Echofon」のようなアプリを製作している開発者に対して、新たな制約を設けた。そうしたアプリのユーザー数には上限が設けられた。例えば、現時点で1万人のユーザーがいるとすれば、2万人を超えることはできない。またディスプレイガイドラインが新たに定められたが、これは強制的なもので、Twitterは、従わない場合は「アプリケーションキーを無効にする」と脅している(これはTwitterの世界では極刑に等しい)。
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