「VOD普及は自分の使命、確実に一番大きくなる市場」--U-NEXT宇野社長 - (page 3)

取材:怒賀新也、文:加納恵(編集部)、撮影:栗栖誠紀2012年08月23日 10時00分

配信コンテンツ数は約6万本、見放題サービスも用意

--VODサービスの要はコンテンツだと思いますが、U-NEXTの特長は。


 現在約6万本のコンテンツをそろえており、ラインアップの広さはナンバーワンだと自負しています。各種コンテンツの取得には一定のコストがかかってきますが、我々がVOD事業を始めた時からするとずいぶんと交渉ができるベースになってきました。当時は、ネット経由でコンテンツを出すことに難色を示す方が多かったですが、コンテンツ提供者の考え方自体が変わってきていますね。

 コンテンツは、映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメなどをそろえています。ジャンル的に飛び抜けて人気というものはないのですが、「わざわざ」というのが人気コンテンツの一つのキーワードですね。

 「わざわざ映画館に行ってみるほどでもない」「わざわざビデオを借りにいくほどでもない」といった作品が上位に入る傾向にあります。ですから映画の旧作は、長く人気がありますね。U-NEXTでは1990円の定額見放題サービスを用意していますが、そういった作品を見放題作品に含むことで「ちょっと見てみよう」とお客様の利用を促しています。

--見放題の価格設定もVOD事業者ごとに異なりますね。

 価格設定は非常に難しいです。いまの価格に至るまでにも悩みましたし、今後の対策も講じて行かなければならない。ただ有料多チャンネルと比較した場合、1990円というのは手を出しやすい価格だと思いますし、より低価格で提供しているサービスに比べても、コンテンツの充実度で満足いただけると考えています。

マルチスクリーン化で本当の「見たい時に見られる」を実現

  • 8月からスマートフォンにも対応しマルチスクリーン化を実現した

--2012年も後半に入りましたが、今後の取り組みを教えて下さい。

 U-NEXTはテレビ向けにスタートしたVODサービスで、当初はセットトップボックスが必要でした。その後一部のテレビに機能を内蔵し、現在では日本で販売されているほぼすべてのテレビに搭載されています。一方で5月にはPC向け配信に対応し、8月からはスマートフォンでの利用も可能になりました。ハードウェアの環境を選べるマルチスクリーンに対応したことで、よりお客様の利便性を向上できたと思っています。

 VODサービスを始めた時に「見たいものが見られる、見たい時に見られる」という2つを実現したいと思っていました。VODは見たい時に見始めることができますが、テレビのみの対応ではテレビのある場所でしか見ることができなかった。マルチスクリーン化させたことで、家にいなくても見られるようになりました。これによって、本当の見たい時に見られるを実現できたと思っています。

 VODは私がやるべき事業だと思い込んで取り組んできた仕事です。インフラの整備とコンテンツの充実、両面を理解し、それぞれとコミュニケーションを取りながらビジネスをしていくことは、開始当初大変難しい状況でした。だからこそ使命感を感じてここまで取り組んで来た。

 2000年に当時会社のあった溜池山王と渋谷のサーバを光ファイバーでつないで、とあるアーティストのプロモーションビデオを見たことがあります。実験ベースのものだったんですが、PC画面に映像が配信された時は、見ているみんなで大騒ぎしたのを覚えています。

 光ファイバーも始めた当初はそこまでは必要ない、と言われることがありました。しかし早い方が気持ちよく使えますし、遅い通信が残る意味がわからない。当時も光ファイバーの時代は必ず来ると私は言っていました。VODに関してもまったく同じで、VODの時代は必ずやってきます。

宇野康秀氏
宇野康秀氏(U-NEXT 代表取締役)
1963年生まれ。1988年明治学院大学法学部卒業後、リクルートコスモス(現 コスモスイニシア)に入社。1989年にインテリジェンスを立ち上げた後、USEN代表取締役(現 グループ会長)、楽天社外取締役、ギャガ・コミュニケーションズ代表取締役などを歴任。2010年にU-NEXTを設立し、現職に就いている。

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