ディー・エヌ・エー(DeNA)は8月9日、2012年第1四半期決算(4~6月)を発表した。
今期から採用した国際会計基準(IFRS)での呼び方である「売上収益」は476億円で前年同期から37%増、前四半期からも11%増だった。営業利益は184億円で前年同期から22%増、前四半期からも5%増。増収増益となった2011年度の第1四半期から第3四半期までは横ばいかやや下降気味だったが、第4四半期において大きな伸びを示し、その勢いを維持した形となった。
決算説明会で登壇した代表取締役社長の守安功氏は、この第1四半期のトピックスとしてソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会の公表ガイドラインに沿ってMobageの利用環境の向上施策を推進したことや、この施策をしながらもモバコインの消費が拡大したこと挙げた。また、欧米向けの「Rage of Bahamut」(日本タイトルは「神撃のバハムート」)が米国Google PlayのAndroidアプリ売上ランキングで17週連続1位を獲得。App Storeでも1位を獲得し、上位を維持しているという。
5月に話題となったコンプガチャ問題で、前回の決算説明会では今後の業績に与える影響について質問が集中した。それを踏まえてか、守安氏は日本におけるモバコインの消費状況について、四半期だけでなく月別でも消費額のデータを公開した。前四半期(1月~3月)における消費額は511億円で、今四半期では541億円となり30億円増となっている。そして月別で見ると、4月は177億円、5月は184億円、6月は180億円、7月は183億円となり、基本的に横ばいを維持していると説明した。「細かいところで説明すると、6月は5月と7月に比べて1日少ないんです。キャリア課金の傾向で見ると月末における1日あたりの消費額が約4億円ぐらいですので、それを踏まえると、1日単位の消費は横ばいと見ていいです」(守安氏)。また8月においても、7月の月初の1週間と比較してもほぼ同じの状況だという。
利用環境の施策によって、コイン消費にどのような影響を与えたかについても説明があった。まず青少年ユーザーへの月額課金に上限を設けたことについては「5月と7月を比べると、おそらく月額で3億円程度の影響があったと考えている」としたが、これは一時的なもので8月以降にも引きずるものではないとした。
そしてコンプガチャ廃止における影響については「みなさんが一番関心のあることですし、いろんな角度から分析をしましたが、結論から申し上げると正確にかつ合理的に算定することが難しい」とした。理由として、コンプガチャイベントを行ったとき、必ずしも売上が同じになるわけではなく、ブレが生じるもので、そのコンプガチャの報酬アイテムの魅力度が売り上げに影響する。また各回のイベントのテーマや仕様によっても売り上げが変わってくるため要因の比較が難しく、また全く同じコンプガチャならびにガチャイベントが行われることがないため、コンプ要素を外したことによる影響の合理的な算出が極めて難しいと説明。守安氏は「コンプガチャ廃止による影響よりも、コンプガチャを廃止してもモバコインの消費額が横ばいだったことが重要」だとした。
次の第2四半期(7~9月)に関しては、コンプガチャ関連の影響は6月までとした。既存タイトルへの新要素の組み込みや新タイトルのリリースによってコイン消費が促進されるため、モバコインの消費額は約10億円増の550億円に達すると見込んでいるとした。「コンプガチャ問題に関しては、危惧していた状況にならずに対応できたと思います。現状は横ばいの状態ですが、先の第3、第4四半期で成長軌道に戻せるのかが重要ですし、新しいタイトルなどを導入して戻していきたいです」(守安氏)。そして2012年上期の予想として、売り上げ収益を971億円で前年同期比40%増、営業利益で379億円で前年同期比27%増を見込んでいる。
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