この記事は電子メールと、2回の休暇についての話だ。いや、実際には3回だろう。というのは、筆者は今、休暇中だからだ。そしてコンピュータから完全に離れている。
コンピュータから離れるというのは、筆者が2011年の休暇から学んだことだ。それで分かったのは、電子メールをチェックしないでいても、戻ったときに受信ボックスが制御不能な状態に陥っていないようにすることは可能だ、ということである。きっとあなたにもできる。
2011年の夏、筆者は休暇を2回取った。期間はそれぞれ1週間だった。最初の休暇の間は、電子メールをきちんと管理するように努めた。休みをのんびり過ごして戻ってきたときに、メールが1000件以上もたまっているのは嫌だったからだ。
1日のうちの最も暑い時間帯、つまり誰もがビーチから引き上げてうたた寝をしている頃の1時間か2時間を、電子メールのために使うことにした。「別にかまわないだろう」と思った。家族は休んでいるのだから、自分はノートPCを起動して、電子メールに返信する。もちろん、携帯電話は1日中持ち歩いていたから、電子メールを常にチェックし続けるのは簡単だった。
受信ボックスをほとんど空にしておくという観点からすれば、これは成功だった。仕事に戻ったときには、受信ボックスのメール件数は30件程度で、出かけたときとほとんど同じだった。その点ではかなり満足だった。しかし振り返ってみると、休暇中にあまりリラックスできなかったような気がする。
1カ月後に、1週間の休暇をもう一度取った。今度は完全にコンピュータから離れた。いったん目的地に着いたら、コンピュータはオフにして、そのままにしておいた。携帯電話も同じだ。毎日の電子メールチェックもやめた。
一体どんなことになるのだろうかと不安だった。10年以上の間、これほど長く電子メールから離れていたことはなかったからだ。休暇に備えて、自動返信機能を設定した。ご存じの通り、この機能では、「現在留守にしています」というような種類のメッセージを、電子メールを送ってきた全員に対して送信するように設定できる(ただし、筆者が使った「Gmail」の自動返信機能(「不在通知」)は良くできていて、そうしたメッセージが同じ人に何度も繰り返し送信されないようになっている)。
自動返信の機能を知らなかったわけではない。常につながっておきたいという気持ちから、そうした機能を何年もの間あまり使っていなかっただけだ。しかし、コンピュータから離れたことで、この機能がどれほど役に立つのかが分かった。
そのことがはっきり分かったのは、電子メールを使わなくなってから1週間後、帰りのフライトの前に、空港でついにコンピュータの電源を入れた時だ。帰り道は遅れを取り戻すのにちょうど良いタイミングだと思った。長いフライトの間に、電子メールを全部チェックして、できるだけ多くに対応しておくつもりでいた。
無線接続がオンになり、電子メールがダウンロードされて、受信ボックスは約1500件のメールであふれた。しかし搭乗時刻までの2時間足らずの間に、受信ボックスのメール件数を60件程度まで減らすことができた。これには驚いたが、その鍵を握っていたのが自動返信機能だった。
筆者が使った自動返信機能では、連絡してきた人々に対して、記事に関する問題や関連する質問があれば、筆者ではなく別の編集者に連絡するようにというメッセージが送信された。筆者は遅ればせながら、この機能の効果を実感することができた。最初のメールが届くと、その後すぐに、同僚の編集者に再びメールが送信されていた。あっという間に筆者は輪から外れた。筆者の不在の間にも物事は前に進み、誰も筆者からの返信を待つ必要はなかった。
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