BMW filmsはサイバー部門でグランプリを得たが、大きな話題となりながらも、例えばフイルム部門では秒数の都合で除外されたり、メディア部門、プレス&アウトドア部門などでも収まる場所がみつからなくなり、結局サイバー部門以外では特に大きな評価を受けることができなかった。
これは大変象徴的な出来事で、つまり既存の発想による縦割りの概念では、革新的なマーケティングモデルを評価することができなくなってきたという意味だった。つまりコミュニケーションが進化を続けた結果、今までのメディアやカテゴリや従来の考え方を超えてしまったということ。そして、それは今後も続く進化と拡張になるであろうことが誰の目にも明らかになったのだ。
そこで翌年の2003年、ワイデン+ケネディ代表のダン・ワイデン氏によって「従来の枠に当てはまらない、見る者に新しい驚きをもたらす革新的なもの」に与えられるチタニウム部門が新設され、BMW filmsは、その最初の受賞作となった。このあたりから、コミュニケーションやメディアはどんどんクロスを始める。
その他、いくつか節目となるバイラルCMをご紹介する。
2005年に公開されたナイキのこのCMは「Touch of gold」のタイトルで世界中の話題となり、2008年に発表された「The YouTube Top 10 Brands」において、YouTubeで公開された企業ビデオで世界一の視聴回数として選ばれた。残念ながらオリジナルのCMは削除されており、現在に至る視聴回数の累計は不明だが、2008年4月時点で、視聴回数2258万1372回。コメント数は1万5152とのクレジットが残っている。このCMはデンマークの作品でカンヌ国際広告祭2006のフイルム部門で銀賞も受賞した
2006年6月、筆者による日本初のバイラルCM、カプコンの「極魔界村」が制作、公開された。YouTube日本上陸前の動画視聴環境において、公開3日間で20万視聴、1カ月間で100万回視聴突破を記録。この試みと成功は、広告主の団体である公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会からも評価をいただく事となった。
ちなみに2006年当時、広告業界ではまだバイラルやバズといった単語は一般化されていなかった。また、この制作や反響は、マス媒体以外のメディアの可能性を肌で実感する貴重な体験であった。さらにユーザーによる情報発信の可能性や、情報共有によるムーブメントの可能性にも着目することとなったが、実はこの体験が、現在アジャイルメディア・ネットワークで新しいコミュニケーションに取り組んでいる原体験になっている。
このCMは見たことがある人も多いのではないだろうか。これはヘアケア商品「Dove(ダヴ)」のリアルビューティキャンペーンの一環として2006年に制作、公開されたバイラルCM「Evolution」。アメリカ屈指の視聴率を誇るNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」でもオンエアされたが、ネットでも公開され話題になった。ブランドのメッセージをきちんと伝えるためにショッキングな表現をあえて描いたのがミソ。
まだまだご紹介したいCMはあるが、誌面の都合でここから一気に最近作を紹介する。
YouTubeは、2011年12月に「2011年にYouTubeで最も見られたCM」を発表した(注:ミュージックビデオや映画の予告編を除く)。さてみなさんは、2011年YouTubeで世界で最も視聴されたCMをご存知だろうか?
答えは、フォルクスワーゲンの「The Force」。このCMは2011年2月のスーバーボウルでも放映され、2011年のカンヌライオンズのフイルム部門で金賞を受賞。さらにこのCMは、何と2011年にYouTubeで最も共有されたCMでもある。
参考までにご紹介すると2012年のスーパーボールでは続編となる「The Dog Strikes Back」がオンエア。YouTubeで公開中のエクステンディットロングバージョンには、ダースベイダーも登場。洒落のきいた展開となっている。
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