7月25日に開始した900MHz帯の「プラチナバンド」に続き、秋にはFDD-LTE規格の通信サービスを開始する予定だ。すでに月額5985円でパケット定額サービスを提供すると発表しているが、「LTEの時代がもうじきやってくる。出遅れているのではないかと思っていると思うが、サービスインすれば、サービスエリア、品質、実行速度で他社を大きく上回る実績をだせると確信している」と自信を見せる。現在の3Gよりも高付加価値を付けることで、さらにデータARPUを引き上げていく狙いがある。「事業は、利益を伸ばすことが経営者の責務」だと孫氏は言う。それによって新たな技術開発の投資やサービスの投資も行え、ユーザーに責任のある経営が続けられるとした。
プラチナバンドの基地局は、「これから一気に数を増やし、来年の3月には1万6000の基地局でサービスインしたい。2013年度末までにさらに1万基地局増やし、累計で2万6000にしたい。考えられないぐらいの建設速度で走っている」としている。
また、法人事業にも積極的に力を入れており、法人市場は「ブルーオーシャン」だという。同社が唯一取り扱うiPadを武器に、iPadの法人顧客を7万社を超え、併せてクラウドGoogle Appsも累計で24万IDを販売する。
孫氏は「もともと、NTTグループ、KDDIは、大きな法人契約を持っていた。(ソフトバンクは)日本テレコムを買収して、法人アカウントを継承したが、マーケットシェアは一番低かった。その中で、iPhoneとiPadでユーザー数が増えている。固定回線網、クラウド、データーセンタ、Google Appsのトータルパッケージで商談が続々と進んでいる。楽しみにしているブルーオーシャン」と語った。
苦戦するNTTドコモ、KDDIに対し、同じ成熟した日本市場において、同じ業界で、同じ端末で、同じような技術で、ソフトバンクだけが利益を伸ばしているのか──。孫氏は「一言で言うと、インターネット企業カルチャーだと思う」と説明する。
音声中心の時代から、モバイルインターネットへシフトする中で、「電話の会社が、モバイルインターネットを見るのと、インターネットの会社がモバイルインターネットを見るのでは、全く見える景色が違う。取り組む内容が違う」と語る。
「我々は960社のインターネットカンバニーをグループに持っている。経営陣、社員はインターネットで呼吸をし、インターネットで喋り、インターネットで食べていく。インターネットの側から全部見て、ビジネスモデル、ネットワーク、料金プラン、サービスポリシー、社員教育はどうあるべきかを考えられる。抽象的に聞こえるかも知れないが、もっとも重要なこと」と言う。
さらに、「30年たってもIBMはパソコンのことはわからなかった。15年たってもマイクロソフトはまだインターネットの会社ではなくパソコンの会社。パソコンのハードウェアを作っていたデル、コンパック、HP、かつてのIBMもそうだが、所詮パソコンのハードメーカーから一度も脱却できなかった。何を事業を自分たちの企業カルチャーとして、なにをもっとも大切な思想として持つか。実は抽象的に聞こえるかも知れないが、決定的に業績の差に表れてくる」と続ける。
事例として挙げるのはやはりアップルだ。「パソコンの時代を開拓し、モバイルデバイスの時代を開拓し、プラットフォームをつくり、世界1位の時価総額に駆け上っていった。まだ足下にも及ばないが、今から10年、20年、30年でそのような道を歩んでいきたい。もちろん、株主価値の最大化に向けていくが、それよりもっと大事なのは、情報革命を通じて、人々の幸せに貢献したい。それがフィロソフィ(哲学)。実現に向けて利益を増大させていく」とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」