キヤノンマーケティングジャパンは7月23日、デジタル一眼カメラ「EOS M」を9月中旬に発売すると発表した。
EOS Mは、キヤノン初となるミラーレスの一眼カメラだ。APS-Cサイズ、約1800万画素のCMOSセンサを搭載。スペックとしては、6月に発売した「EOS Kiss X6i」とほぼ同等の機能を有しながら重さは約265gとEOS Kiss X6iの約半分で、高画質と小型・軽量の両立させたと意気込む。
ミラーレス市場は、レンズ交換ができる拡張性の高さを備えながら、ミラーレス構造により小型化したことで2009年ごろから順調にシェアを伸ばし、2012年にはレンズ交換式市場の4割に上ると予測される。
すでにミラーレス市場には、オリンパス、パナソニック、ソニー、ペンタックス、ニコン(ニコンは、レンズ交換式アドバンストカメラと称する)が参入しており、キヤノンは最後発となる。
以前からミラーレス市場参入の噂が絶えなかったキヤノンだが、このタイミングで発表したことについて、「満を持してではなく、ようやく開発できた。ダウンサイジング(小型化)と高画質の相反する要素にやっとめどがついたというのが正直なところ」(キヤノン イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏)とコメントした。なお、開発期間については「お答えできない」としている。
キヤノンマーケティングジャパン 取締役専務執行役員 イメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏は、「どうせ出すならいいものを出して欲しいという希望もあったので、若干最後発ということになったが、まだまだ十分追いつけると思っているし、一眼レフとミラーレスと両方伸ばしていきたいというのが本音」とも話す。
EOS Mは、EOSシリーズの中でもKissシリーズに並ぶエントリーモデルと位置付ける。メインターゲットは20代から30代のエントリー層だ。同社の調査によれば、ミラーレスユーザーの6割が交換レンズの購入を考えてているという。また、ボケ味を重視するユーザーが一眼レフユーザーも高いことから、キヤノンが持つ60種類を超えるレンズEFレンズ群の買い増しや、さらなる上位モデルへのステップアップにも期待をかける。
CIPAの出荷累計およびキヤノンによれば、2012年はレンズ交換式デジタルカメラ市場全体で185万台。うち78万台がミラーレスと予測する。一方で、一眼レフ市場も国内で年間100万台前後で推移しているという。
ステップアップを促進するための一環として、「Hello,ミラーレスEOSスクール」を開催する。EOS Mを使った特別講座で、これまでキヤノンは写真スクール「EOS学園」や「キヤノンフォトサークル」などを主催してきたノウハウを生かし、さらなるエントリー向けの講座を開催することで、ユーザーの知識や技術力の向上を狙う。
なお、キヤノンではEOS Mに4つのボディカラーをラインアップする。今回、ボディ単体と3つのレンズキットがあるが、4色展開をするのは「EOS Mダブルレンズキット」(市場想定価格:10万9800円)のみ。ボディ単体ではブラックのみ、レンズキットではブラックまたはシルバーの組み合わせのみになる。さらに、ダブルレンズキットには、「EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM」と「EF-M22mm F2 STM」の2つのレンズに加えて、従来のEFレンズを使用できる「マウントアダプター EF-EOS M」(1万2600円)と、外部ストロボ「スピードライト 90EX」を同梱しており、同社のステップアップを促進する戦略が垣間見える。
今回、CMキャラクターには新垣結衣さんと妻夫木聡さんが選ばれた。CMソングには木村カエラさんによるビートルズのカバー曲「Hello Goodbye」を起用する。記者会見に登場した2人は、北海道でのCM撮影で1日EOS Mに触れていたエピソードを披露し、妻夫木さんは「くだらない思い出も美化してくれる魔法のカメラ」とコメント。新垣さんも「軽くてコンパクトで扱いやすいので、小さめのバッグでも入る。薄いし、しっかり握れるので楽に撮っていられた」とアピールした。
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