11月の米大統領選まで、あと4カ月。激戦だった共和党予備選は終了し、8月の党大会で正式に大統領候補と指名されるロムニー前マサチューセッツ知事と、再選をかけたオバマ大統領との間で、熱選が繰り広げられている。
前回の2008年は、米大統領選挙におけるソーシャルメディア元年ともいわれた。オンラインでの選挙宣伝費が過去最高にのぼり、ネットを通じて個々の有権者らから小口献金を何億ドルも集めたオバマ大統領陣営の手法が話題になった。そして、2012年──。ソーシャルメディア環境は、わずか4年の間に大きく変わった。今では、米成人の8割以上が選挙に関するニュースの大半をオンラインで入手し、6割以上が「候補者も当然、ソーシャルメディアを利用するもの」という意識である。
さらに、米ネット利用者の6割以上がソーシャルメディアを利用し、2008年に比べ、Facebookの利用者数は3倍、Twitterの利用者数は8倍にも増加している。ちなみに両党候補とも2008年当時、Facebook、Twitterと並んでMyspaceにも力を入れていた。つまり、次の大統領選挙のある2016年に、今流行しているSNSが健在とは限らないということだ。
さらに、Google+やPinterestなど、当時は存在しなかったプラットフォームも登場している。ロムニー候補は、Google+がハングアウト(ビデオチャット機能)を公開してまもなくハングアウトを使ったバーチャルタウンホールを開催し、全米各地の有権者らからの質問に応対していた。
今年に入り、オバマ大統領もハングアウトを通じてバーチャルインタビューに応じたが、その映像はYouTubeでもストリーミングされた。
昨年から米国で大人気の画像SNS、Pinterestには、2012年に入って両候補者の夫人も“参戦”。ロムニー夫人に続き、オバマ大統領夫人も6月にPinterestデビューし、話題を呼んだ。選挙事務所によるドライなPinterestボードとは違い、夫人らのボードには、家族の写真やレシピを掲載するなど、大統領選にパーソナルタッチを加えている。
両陣営にとって、もっとも大事なのは無党派層。彼らの投票で勝敗は決まる。そのため、選挙事務所では、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを通じて無党派層を探し出し、データベースを作成。彼らの関心を惹き付けて、票に変えるようアプローチが試みられる。
ビジネスの世界と同様、選挙の世界でも、「インフルエンサー」を見極め、囲い込むのが重要だ。選挙の専門家の話では、ブログ、そして既存メディアにストーリーとなって伝わって行く話のネタをインフルエンサーを通して育むには、Twitterが最適だそうだ。
そして、Twitterでは、もうすぐ個人がTwitterを通じて政治家に献金ができるプラットフォームが登場する予定だ。これはPayPalの口座にリンクし、献金の上限は200ドルまで。プラットフォームを提供するベンチャー企業が5%の手数料を徴収するという。オバマ、ロムニー両陣営はまだだそうだが、すでに20を超える選挙運動事務所が登録しているという。
選挙というのは、個々の有権者と、いかに絆(エンゲージメント)を築くかというのが焦点であるから、オフライン(リアル)では不可能な人数の有権者と、直接、触れ合えるソーシャルメディアは、選挙戦に適したメディアであるといえるだろう。
栄枯盛衰の激しいソーシャルメディアの世界で、今後、両陣営がどうソーシャルメディアを選挙に利用していくのが目が離せない。
下記にオバマ陣営とロムニー陣営のソーシャルサイトをまとめた。Facebookでのオバマ大統領への献金は、ファンや友だちからがそうでない人の2.5倍だが、若い人が多いため、一人当たりの平均献金額はファンやファンの友だちの間では低い。ちなみに、オバマ大統領のサイトのクリックスルー率6割以上が有料検索広告で、候補者の中で最高。
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