企業が生活者とコミュニケーションしていくには、何よりもストーリーが必要です。この場合のストーリーとは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。
レッドブルジャパンの「翼をさずけるキャンペーン」には、生活者の心を動かすストーリーがありました。
レッドブルは世界160カ国以上で販売されているオーストリアのエナジードリンク。このキャンペーンは、レッドブルの世界観とブランドスローガンである「翼をさずける」の意味をより多くの人を伝えようとして企画されたもの。応募者の中から選ばれた「夢」に、レッドブルが「翼をさずけて」サポートするという内容になっています。
日本でのキャンペーンの仕組みは以下のとおり。まず応募者は自分自身の「夢」「目標」「挑戦」を特設サイト内からツイートします。それらのツイートの中からRed Bull Japan公式アカウントが1日に1つ~2つを選んでリツイート。選ばれたツイートの中から最終選考で1名が選ばれます。レッドブルは、その夢を実現すべくサポートします。サポート内容についての金額等は特に設定されておらず、内容に応じてレッドブルが実現可能なサポートをすることになっています。
このキャンペーンは2012年7月1日から8月31日まで実施されます。まだ始まったばかりですが、既に数多くのツイートが寄せられ話題になりつつあります。
ではなぜ、多くの人がこのキャンペーンに関心をよせるのでしょう?
それはこのキャンペーンに、人が話題にし、またそれを広げたくなるようなストーリーがあったからです。
まず、応募者を主人公にする仕組み。人は誰でもストーリーの主人公になりたいもの。このキャンペーンは、お手軽に自分の「夢」「目標」「挑戦」をツイートするだけで、誰もが自分だけのストーリーの主人公になることができるのです。
またサイト内では、応募した人たちのツイートを読むことができます。ツイートの数だけストーリーを感じることができます。
さらに「自分の夢をツイートしたらレッドブルが翼を授けてくれるって」とシンプルに口コミしやすいことも、ソーシャルメディアで話題が広がっていきやすい要因です。
レッドブルの「翼をさずけるキャンペーン」は世界中で実施されますが、コンセプトだけが同じで、具体的な内容は国ごとに違います。
例えば、アメリカでは「自分が見たい、実現させたいイベントやプロジェクトのアイデアを応募。投票や審査を経て優勝したアイデアにレッドブルが翼をさずけ実現させる」というキャンペーンを実施。
他方イギリスでは、「Red Bull Racing 本社での1ヶ月間のインターンシップを募集。オンラインテスト、書類選考、面接をパスした合格者にインターンシップという形で翼をさずける」というキャンペーンを実施。
各国のキャンペーン内容を比較してみるのもおもしろいですね。それぞれ内容は違っても「翼をさずける」というブランドスローガンにあったストーリーがあることが決め手です。
このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。
あなたの会社のコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?
この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。
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