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NIFTY-Serve再現で目指すもの--「今と当時のエッセンスの融合を大事にしたい」 - (page 2)

坂本純子 (編集部) Emi KAMINO2012年07月09日 10時00分
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--ユーザーの方々は、やはりパソコン通信の経験者が中心でしょうか。

壁(フリートーク)での投稿を懐かしむユーザー
壁(フリートーク)での投稿を懐かしむユーザー

 広田氏:基本的にはそうですね。今回、コンセプトとして「再会」「当時の思い出アーカイブ」「新コミュニケーション」の3つを掲げているのですが、再会とアーカイブというのは昨年の体験版を通して集めた当時のユーザーの方々の声がもとになっているので、まずその方々に来ていただいて、再会していただきたい。そして、当時の体験自体を形に残したいというアーカイブのコンセプトは、今その部分を皆さんからお聞きしてやっていくのですが、過去のユーザーの方にお集まりいただいた今、そのスタート時点に立っているという段階です。

クリエイティブデザイン部の君島哲也氏
クリエイティブデザイン部の君島哲也氏

 君島氏:特に新たなユーザーさんをターゲットに入れているわけではないんですよね。今回の試みは、当時やっていたからというのがあるものなので。社内でも黒い画面を見ても何をしていいかわからないという人もいるんですが、そういう人たちも今後サービスが発展していくなかで、昔やっていた人との接点が持てることで楽しんでいただくとか、NIFTY-Serveでなければできないコミュニケーションを取っていただけたらという視点で考えています。

--過去のことを調べながら作っていくという中で、苦労されている点などはありますか。

 広田氏:まずひとつは、私自身が当時を知らないということなんですが、器は調べればある程度のことはわかるんです。ただ、実際にその中のコミュニケーションの質や空気感をどう作っていくかですよね。今回のサービスは、開いた時は何もないただの器なので、皆さんに戻ってきていただいて、そこからコミュニケーションが生まれて初めてサービスになるんです。私たちができることは、皆さんがされることを想定して最低限の器を用意するだけで、サービスの中の1割にも満たない。そこをどれだけ想像し、私たちなりの思いを持ってご提供するかというのがもっとも苦労している点ですね。

--コマンドなどさまざまな機能があるので、当時を再現するのは大変なことも多いのではないでしょうか。

 広田氏:NIFTY-Serve自体の歴史が長く、黎明期と前期、中期、後期と4つぐらいフェーズがあるので、それぞれいらっしゃった時期がいちばん懐かしいと思うんです。NIFTY Managerを再現してほしかったという方もいらっしゃれば、NifTermを再現してほしかったという方もいらっしゃいます。一応ひととおりを調べて、いちばん大事な要素は何かというポイントを詰めて作ってはみたのですが、それぞれの方にそれぞれ違うと言われてしまいました(笑)。

--当時を再現される中で新たに発見されたことはありますか。

当時のネット用語をユーザーが解説するなど、なつかしむコミュニケーションも
当時のネット用語をユーザーが解説するなど、なつかしむコミュニケーションも

 広田氏:文字というものに対するこだわりですね。今と違って通信の速度でもないですし、パッと見は文字だけでリッチじゃないんですけど、そのぶん文字に対するこだわりと、それで伝わる感動の量が今とは全然違うと思います。文章が皆さんとてもお上手で、行間とかもすごく伝わってきますし。

メディア事業部 ポータルサービス部の井上真央氏
メディア事業部 ポータルサービス部の井上真央氏

 井上氏:テキストコミュニケーションに皆さんがとても長けていらっしゃるってことを感じています。たとえば、Twitterだと間違いがあったりしてもちょっとしたことなら放置したり──ということがありますよね。でも「ここは違います」とかフォローがあったり。すごくリテラシーが高いんですよね。

--ご自身のコミュニケーションにも変化がありましたか。

 井上氏:最近、だんだん当時の顔文字を使うようになってしまっていますね。ユーザーの方々に合わせてコミュニケーションしていると、私自身の言葉づかいや顔文字も90年代になってきたり(笑)。

--どんなフォーラムが今人気を集めていますか。

 広田氏:「同窓会フォーラム」ですね。皆さん、再会して「久しぶり」「あぁ懐かしい」「今どうしているんですか?」みたいな感じで本当の同窓会のように盛り上がっていますね。「今度オフ会やりましょう」と言って、実際に行われているみたいです。

--サービスを開始後に最も多い要望は何でしょうか。

 広田氏:現時点ではチャットですね。先日アンケートを取らせていただいたんですが、いちばん多かったです。これはやらないといけないかなと思っています。

  • 伝説の「中村メール」について、ユーザーがコメントを寄せる

  • フォーラム追加の要望が寄せられる。なつかしの絵文字も

  • 今後についての要望と事務局とのやりとり

--今後のサービス展開について教えてください。

このように、使用できるコマンドがアップデートされている
このように、使用できるコマンドがアップデートされている

 君島氏:現状だと、「Goコマンド」で各フォーラムに行くという専用のコマンドみたいなものですが、裏ワザみたいなものを考えています。当時の機能を再現して単に懐かしいもので終わるのでなく、今のサービスに合わせてちゃんと機能として使えるものをご提供しようと思っています。

 広田氏:当時を完全再現するのであれば、そのままやればいいだけの話ですが、それをやっても器にすぎないので、同じものは絶対によみがえらないんですよね。今『懐かしいね』と言っていただいている方たちもFacebookもTwitterも使っていらっしゃるし、ウェブやスマートフォンを使っていて、当時とは異なる環境で生活されている中で、当時と同じものがあればそのまま同じように楽しめる、という話ではないと思うんです。今のエッセンスと当時のエッセンスを合わせるというのを大事にしたいですね。

--当時を知るスタッフのひとりとして、昔のものをベースに新しいものを作るという今回の試みに関わっていかがですか。

NIFTY-Serveを知る経験からアドバイザーとして参画する、人材開発部 部長の福井幸人氏
NIFTY-Serveを知る経験からアドバイザーとして参画する、人材開発部 部長の福井幸人氏

 福井氏:私は昔のものをそのまま復元してもしょうがないと思っているんです。そこは後輩のスタッフたちの若い感性にお任せしているというのが基本的なスタンスですね。ただ、紙の資料というのはたくさんあるんですが、例えば画面の動きであったり音であるとかは、実体験ががなければどこにポイントがあるのかはわからない。そういったところをサポートしていきたいと考えています。

--今回、パソコン通信をウェブで再現するにあたってシステム面で苦労されたことはありますか。

メディア事業部 WEBサービス開発部の藤田健介氏
メディア事業部 WEBサービス開発部の藤田健介氏

 藤田氏:いつもは「こういうのを作りますよ」というのが固まった上で作っていくというパターンが多いので、そのへんが今回は違いますね。今回作ったものはウェブの仕組みなので、技術的にはそれほど難しいものでありません。作るものがもともと決まっていないなかで、いろいろ要望を聞いて試行錯誤しながら機能を追加したりして作っていくという感じなので、そのへんが大変なところですね。

--これから1年間続く中で、今後どのようなことを期待されていますか。

 君島氏:まだスタートしたばかりのサービスなので、ユーザーが集まっていないのですが、ネットをやってない人たちにもできれば来ていただきたいですね。そして、なるべく多くの人に出会ってもらえればいいなと思います。『残したい』という声があればできれば残したいですね。別に皆さんが飽きてしまってもそれはそれでいいのですが。

 広田氏:当初発表されたときの姿と1年後の姿が全然違ったらいいなと思っています。器は同じなんですが、サービスとして違うものになっている。新しいNIFTY-Serveに進化しているといいなと思います。そうしたなかでユーザーの方が一緒に楽しんでいただければいちばんだなと思いますね。私たちが一生懸命やらせていただいても、100には絶対にならないので。ご意見をお聞かせいただいて、一緒に歩んでいくという姿勢が双方にとっていいかたちにつながるのかなと思っています。そして、いつものネット生活の中でちょっと新しい楽しみができるきっかけになれば嬉しいですね。

NIFTY-Serve再現サイトに関わるスタッフの方々。左から、藤田健介氏、井上真央氏、広田朋美氏、君島哲也氏、福井幸人氏
NIFTY-Serve再現サイトに関わるスタッフの方々。左から、藤田健介氏、井上真央氏、広田朋美氏、君島哲也氏、福井幸人氏

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