広田氏:基本的にはそうですね。今回、コンセプトとして「再会」「当時の思い出アーカイブ」「新コミュニケーション」の3つを掲げているのですが、再会とアーカイブというのは昨年の体験版を通して集めた当時のユーザーの方々の声がもとになっているので、まずその方々に来ていただいて、再会していただきたい。そして、当時の体験自体を形に残したいというアーカイブのコンセプトは、今その部分を皆さんからお聞きしてやっていくのですが、過去のユーザーの方にお集まりいただいた今、そのスタート時点に立っているという段階です。
君島氏:特に新たなユーザーさんをターゲットに入れているわけではないんですよね。今回の試みは、当時やっていたからというのがあるものなので。社内でも黒い画面を見ても何をしていいかわからないという人もいるんですが、そういう人たちも今後サービスが発展していくなかで、昔やっていた人との接点が持てることで楽しんでいただくとか、NIFTY-Serveでなければできないコミュニケーションを取っていただけたらという視点で考えています。
広田氏:まずひとつは、私自身が当時を知らないということなんですが、器は調べればある程度のことはわかるんです。ただ、実際にその中のコミュニケーションの質や空気感をどう作っていくかですよね。今回のサービスは、開いた時は何もないただの器なので、皆さんに戻ってきていただいて、そこからコミュニケーションが生まれて初めてサービスになるんです。私たちができることは、皆さんがされることを想定して最低限の器を用意するだけで、サービスの中の1割にも満たない。そこをどれだけ想像し、私たちなりの思いを持ってご提供するかというのがもっとも苦労している点ですね。
広田氏:NIFTY-Serve自体の歴史が長く、黎明期と前期、中期、後期と4つぐらいフェーズがあるので、それぞれいらっしゃった時期がいちばん懐かしいと思うんです。NIFTY Managerを再現してほしかったという方もいらっしゃれば、NifTermを再現してほしかったという方もいらっしゃいます。一応ひととおりを調べて、いちばん大事な要素は何かというポイントを詰めて作ってはみたのですが、それぞれの方にそれぞれ違うと言われてしまいました(笑)。
広田氏:文字というものに対するこだわりですね。今と違って通信の速度でもないですし、パッと見は文字だけでリッチじゃないんですけど、そのぶん文字に対するこだわりと、それで伝わる感動の量が今とは全然違うと思います。文章が皆さんとてもお上手で、行間とかもすごく伝わってきますし。
井上氏:テキストコミュニケーションに皆さんがとても長けていらっしゃるってことを感じています。たとえば、Twitterだと間違いがあったりしてもちょっとしたことなら放置したり──ということがありますよね。でも「ここは違います」とかフォローがあったり。すごくリテラシーが高いんですよね。
井上氏:最近、だんだん当時の顔文字を使うようになってしまっていますね。ユーザーの方々に合わせてコミュニケーションしていると、私自身の言葉づかいや顔文字も90年代になってきたり(笑)。
広田氏:「同窓会フォーラム」ですね。皆さん、再会して「久しぶり」「あぁ懐かしい」「今どうしているんですか?」みたいな感じで本当の同窓会のように盛り上がっていますね。「今度オフ会やりましょう」と言って、実際に行われているみたいです。
広田氏:現時点ではチャットですね。先日アンケートを取らせていただいたんですが、いちばん多かったです。これはやらないといけないかなと思っています。
君島氏:現状だと、「Goコマンド」で各フォーラムに行くという専用のコマンドみたいなものですが、裏ワザみたいなものを考えています。当時の機能を再現して単に懐かしいもので終わるのでなく、今のサービスに合わせてちゃんと機能として使えるものをご提供しようと思っています。
広田氏:当時を完全再現するのであれば、そのままやればいいだけの話ですが、それをやっても器にすぎないので、同じものは絶対によみがえらないんですよね。今『懐かしいね』と言っていただいている方たちもFacebookもTwitterも使っていらっしゃるし、ウェブやスマートフォンを使っていて、当時とは異なる環境で生活されている中で、当時と同じものがあればそのまま同じように楽しめる、という話ではないと思うんです。今のエッセンスと当時のエッセンスを合わせるというのを大事にしたいですね。
福井氏:私は昔のものをそのまま復元してもしょうがないと思っているんです。そこは後輩のスタッフたちの若い感性にお任せしているというのが基本的なスタンスですね。ただ、紙の資料というのはたくさんあるんですが、例えば画面の動きであったり音であるとかは、実体験ががなければどこにポイントがあるのかはわからない。そういったところをサポートしていきたいと考えています。
藤田氏:いつもは「こういうのを作りますよ」というのが固まった上で作っていくというパターンが多いので、そのへんが今回は違いますね。今回作ったものはウェブの仕組みなので、技術的にはそれほど難しいものでありません。作るものがもともと決まっていないなかで、いろいろ要望を聞いて試行錯誤しながら機能を追加したりして作っていくという感じなので、そのへんが大変なところですね。
君島氏:まだスタートしたばかりのサービスなので、ユーザーが集まっていないのですが、ネットをやってない人たちにもできれば来ていただきたいですね。そして、なるべく多くの人に出会ってもらえればいいなと思います。『残したい』という声があればできれば残したいですね。別に皆さんが飽きてしまってもそれはそれでいいのですが。
広田氏:当初発表されたときの姿と1年後の姿が全然違ったらいいなと思っています。器は同じなんですが、サービスとして違うものになっている。新しいNIFTY-Serveに進化しているといいなと思います。そうしたなかでユーザーの方が一緒に楽しんでいただければいちばんだなと思いますね。私たちが一生懸命やらせていただいても、100には絶対にならないので。ご意見をお聞かせいただいて、一緒に歩んでいくという姿勢が双方にとっていいかたちにつながるのかなと思っています。そして、いつものネット生活の中でちょっと新しい楽しみができるきっかけになれば嬉しいですね。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力