欧州議会は現地時間7月4日、反対多数で模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement:ACTA)を否決した。
論議を呼んでいるこの条約は、模倣品防止および著作権保護対策を全EU加盟国や米国を含む他の署名国のあいだで調整する目的を持っている。
欧州議会の投票結果は、反対が478票で、賛成はわずか39票であった。棄権は146票であった。
欧州議会でのこの投票結果は、署名したEU22カ国はACTAを批准して自国の法律として法制化できないこと意味する。しかし、EU非加盟国は条約の趣旨に沿った法制化は可能だが、欧州の支援がなければACTAの範囲が大幅に狭められる。
これまで、EU27加盟国のうち、英国を含む22カ国がこの条約に署名している。しかし、ドイツは同国の外務省が署名手続きの延期を求めているため、ACTAへの同意はこれからになる。
この条約の調査を担当している政治家であり報告者のDavid Martin氏は、2012年に入って抗議のために辞任したKader Arif氏の後を引き継いだ。Arif氏は、欧州議会はこの条約を受け入れるべきではないと初めて提言した人物で、同様の拒否反応が連鎖的に発生するきっかけとなった。
欧州議会の3つの主要委員会である市民権委員会のLIBE、法務委員会のJURI、産業およびエネルギー委員会のITREは5月下旬、ACTAを否決した。
欧州議会の国際貿易委員会(INTA)も、その3週間後の投票でACTAを否決し、欧州議会に対し条約を否決するよう強いメッセージを送った。
欧州委員会のKarel De Gucht貿易担当委員が6月、たとえ欧州議会がこの条約を否決しても、同委員会は条約を承認するよう求めていくと演説で述べ、ACTAに関するさらなる論議が巻き起こった。
2012年に入り、ACTAに反対する抗議活動が、欧州の街角や議会周辺でわき起こっていた。
初期の交渉過程の一時点では、ACTAは特に不法なファイル共有をターゲットとしていて、SOPAに見られるような広範なウェブサイトブロッキングシステムの実装を含んでいた。
ACTAに関するこのような論点は、結局のところ条約の最終条文から削除された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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