Fleet Numericalの現在の主要な製品は、「Navy Operational Global Atmospheric Prediction System(NOGAPS)」として知られるものだ。NOGAPSは、約21カイリの解像度と、最高10万6000フィート(約32.3km)までの42の垂直レベルで予報を提供する。しかし、Fleet Numericalは海軍や国防総省の内部、さらに連携パートナーにいる「顧客」に提供する、「Coupled Ocean/Atmospheric Mesoscale Prediction System」などのほかの製品も有している。Coupled Ocean/Atmospheric Mesoscale Prediction Systemは「特定地域向けの中規模モデルで、(約)1800ヤード(約1.6km)から、14(カイリ)の解像度、45の垂直レベルまでに対応する多重入れ子構造になっている」。
ほかにも、全世界(21カイリ)と特定地域(3カイリ)向けの用途に対応する海洋波スペクトルモデルの「WaveWatch III」や、20のシミュレーションと15日間予報が可能な「Ensemble Forecast System」、米国軍隊の「Target Acquisition Weapons Software」へのデータ提供に使われる、「唯一の運用可能な全球エアロゾルモデル」である「Navy Atmospheric Aerosol Prediction System」がある。
Fleet Numericalの最も強力なスーパーコンピュータは、「A2 Emerald」として知られるピーク性能27.3テラフロップスのDellのLinuxクラスタシステムだ。ただし、同システムはFleet Numericalの非機密扱いのグローバルモデリングを実行し、世界中のさまざまな国々から膨大な量のデータを取り込んでいる。Fleet Numericalの機密および最高機密扱いのコンピュータはそれよりも小型で、より高い解像度の特定地域や地方のモデリング向けに設計されている。
A2 Emeraldでさえも世界で最も強力なスーパーコンピュータと肩を並べることはできないが、それでもA2 Emeraldは時間とともに向上している。1988年に72時間予報を出力するのに必要だった処理能力で、現在は5日間予報を出力することができる。
Fleet Numericalの重要な使命の1つは、Fleet Numericalを必要とする者を支援し、不可欠な利益を提供することだ。それは、2011年に日本で発生した壊滅的な地震と津波のような地域的な災害の余波から、DeepWater Horizonによる2010年の原油流出事故に対応していたチームへの高精度の風の予測評価の提供まで、多岐にわたる。もちろん、海上の気象状況を敵よりも詳しく把握していることが数多くの場面で大きな利点となり得ることは、米軍とその友好国軍にとって想像に難くない。Sauer大佐は、「このシステムと手法を使用することで、不確実性を定量化することが可能だ」と述べた。
これには、Information Dominance Corpsとして知られる諜報任務が伴う。一例として、米海軍はソマリア沖の海賊対策にFleet Numericalのデータを利用しているとSauer大佐は説明する。ソマリアでは、海賊は穏やかな海域から外へ出ないことが知られている。Fleet Numericalのデータを踏まえて、米軍は海賊のニーズに合致する可能性が高いと思われるエリアで待ち構えることができる。
結局のところ、Fleet Numericalは24時間年中無休で稼働する施設で、海軍が世界中で日々直面する多くの難題に対処できるように、海上やそのはるか上空の気象に関する可能な限り質の高いデータを海軍に提供するよう力を注いでいる。Fleet Numericalの壁が、同センターの作業のおかげで効果的に任務を遂行できたと知っている指揮官たちが書いた数多くの感謝の言葉で飾られているのはそのためだ。米海軍の潜水艦「USS Texas」の指揮官のような海軍軍人たちが、壁に掛けられた写真の1枚に、「時宜を得た極めて重要な情報によって、われわれの最後の任務を直接的に支援してくれた。あなたはわれわれの成功に大きな影響をもたらした。本当にありがとう」と書いている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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