発表の最後に、孫氏は「大変楽しくいろいろ商品を発表したが、どうしても発表しておかなければならないことがある」と切り出した。
福島第一原発の事故に触れ、「未曾有の悲しい原発の事故。人生って何なんだろう。人間って何なんだろう。人の優しさってなんなんだろう。いろいろなことを考えていた。解決していない現在進行形の問題。放射能の脅威は、目に見えないだけに、多くの人が不安と思っていると思う。特に、小さいお子さんを抱えた母親の気持ちを思うと、胸が締め付けられる思い」と話す。
この震災の直後から、孫氏のTwitterに多く寄せられたのは、放射線測定機能を持つ端末を望む声だったという。
「私はTwitterで寄せられると、多くの皆様に対して、自分がやりたいと思ったことについては『やりましょう』というふうにお答えする。そうして決意表明することが多いが、この機能だけは『やりましょう』と簡単に答えるわけにはいかなかった。なぜなら、難しいのは当然だが、できなかったときに多くの皆様にかえって落胆させてしまう思いから」と慎重に取り組んできたことを明かした。
独自開発のICチップによって、コンパクトながらも放射線測定機能を搭載したのが、PANTONE 5だ。大きなガイガーカウンターで毎日測っていると神経質な人、という変な目で見られることもあるかもしれない。そこで、コンパクトさにこだわったという。
「大変難しかった」と語る背景には、放射線センサの小型化と省電力化の問題があったという。「ついにできました!」──そう記者会見上で発表するとともに、Twitter上でもさっそく「出来ました。放射線測定機能搭載のPANTONEスマホ」とツイートしている。
PANTONE 5は、測定専用ボタンを搭載し、指1本で測定できるようにしたほか、測定した場所は自動的にマップ上に表示できる。「放射線測定機能を母親の皆様方に、しかめ面ではなく、日常の生活の中で毎日持ち歩けるよう思いを込めてつくった」とした。
なお、測る高さなどによって測定結果が異なるため、「測った人による結果のばらつきが、風評被害などの問題になりかねない」とし、まずは自分用として測定結果を保存していくとしている。「人によるばらつきに解決できる目処が立てば、情報を共有することは検討しうる」とした。
発表会には、お笑い芸人のスギちゃん、白戸家の「お父さん」や娘役を演じる上戸彩さん、お兄さん役のダンテ・カーヴァーさん、ウィルコムCMキャラクターの千原ジュニアさんらが駆けつけた。
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