「セカイカメラ」の頓智ドットが5月15日に、新サービス「tab」の事前登録を開始した。人の興味関心を可視化し、行動へとつなぐことを促進するサービスだという。
セカイカメラでは「AR(拡張現実)」の可能性を世に提示した同社だが、tabではどんな世界観を作っていくのか。2011年12月に最高経営責任者(CEO)に就任した谷口昌仁氏と創業者であり、最高マーケティング責任者(CMO)の井口尊仁氏に話を聞いた。
谷口:数年前、前職(同氏は前職で楽天の書籍事業を担当していた)にいた頃からずっと、「現実世界から電子へ」ということが言われていた。しかしECの世界というのは、日本の小売り・サービス業全体において、市場規模で3%ほどしか利用者がいない。米国においても5%ほどだ。つまり、オンラインや電子と言っても、実際のところ世界はリアルなものがほとんどだ。
かつては雑誌が情報源で、気になった店などの情報を切り取ったりメモしたりしていた。今ではソーシャルメディアなどでさまざまな情報に触れるようになったが、結局はメモしないとそこにはたどり着けない。だが多様性と一覧性を持ち、さまざまな情報を届ける雑誌は、年々購読が減っている。
ソーシャルメディアでも、意外性との出会いは難しく、検索は明確な単語でないと使えない。人の興味、インタレストから購買へとつなぐには、やはりメモしてその場に行かないと難しい。
だが私が4年以上前から考えていたのは、ある場所に行ったときに、興味関心のあるモノや場所が即座に喚起され、行動につながるというものだ。そんな中でセカイカメラと出会い、興味関心を現実世界に可視化する「エアタグ」という概念に魅了された。そこで井口に「一緒にやらないか」と提案したことが始まりだった。
井口:僕と谷口は、考え方や表現は違えど、本質的には同じ。僕自身は、リアルで行動し、リアルでデバイスを使っている以上、社会がスケスケになれば(可視化されれば)もっと面白くなると考えている。それをメタ的に表現しながらも、どうやったらリアルに結びつくかを考えていた。谷口はそれをロジカルに設計デザインできる人間だとすぐに感じた。まさに「夢の共演」だと思う。
谷口:雑誌は消費を喚起し、ライフスタイルを提案し雑誌の特集に共感してモノを買ったりしている。tabも同様に、特集記事を自ら作ることもでき、ほかのユーザーのお気に入りを閲覧することもできる。ほかのユーザーに共感して自分で新しいお気に入りを作ることも可能だ。
操作は簡単で、tabを立ち上げ、お気に入りのモノや場所を見つけたら、その場で「tab it」(お気に入り)のボタンをタップするだけ。あとは、特定の場所に行った際、位置情報に応じてお気に入りが表示される。基本動作は、気に入ったものをtabしてあとはその場に行くだけ。
井口:同じモノや場所でも、人によって切り口は変わってくる。モノを見る視点が違うからこそ、新しい気付きを得ることができる。どういうコンテキストでお気に入りにしているか。人のお気に入りを見るだけでも楽しいし、自分で特集をつくることによって、人にとっても意味のあるものを作り上げる。
谷口:気になったものをtabし、自分で好きな特集タイトルを付けていく。そのタイトルに気に入った人がその特集をフォローして、定期購読する。そして、そこからインタレストを喚起した人が行動を起こしたり自分なりのお気に入りをつくることでコンテンツが回っていく。
井口:シリコンバレーに行ったときに、スタートアップの人たちが集う場所をマッピングすることで、そこに行ったときに自然と浮き上がり、効率的に場所を回ることができる。
これによって、国内外問わずさまざまな場所にリアルの空間での楽しみ方が一層増してくる。そうすることで、街の見え方がこれまでとガラリと変わってくる。
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