強い事業をより強く--三菱電機の山西社長、成長戦略を示す - (page 2)

 山西氏は「多大なご迷惑とご心配をおかけし、お詫びする。現在、お客様の調査には全面的に協力しているが、調査中であることから詳細は申し上げられない。三菱電機は、事業活動を通じて社会的責任を果たすという意識と風土の醸成に取り組んでおり、そのために7つの行動指針を示している。そのなかにおいて、倫理・遵法行動規範の浸透に向けた取り組みが、会社が存続するためのベースであると考えている。社長就任以来、とくに力を入れてきたのが成長性だが、健全性という観点から、倫理・遵法を最優先する事業運営の再徹底を図る。今回の問題は厳粛かつ深刻に受け止めており、徹底した調査を行い、コンプライアンス体制の強化に一丸となって取り組んでいく。調査後には、必要に応じて処分を行うということもある」などとした。

 なお、2013年度には売上高4兆円、2015年度には売上高で4兆5000億円を目指す計画を打ち出している。

 山西氏は2010年4月に社長に就任して以来、経営のフレームワークとして、現場重視と連携重視の柱を掲げてきた。

 現場重視では、品質、コスト、生産技術力、開発力、知財で構成されるものづくり力強化による「ものづくり現場」と、営業およびサービス力強化の「営業現場」を掲げる一方、連携重視では「製造・販売部門間連携」「事業セグメント間連携」「事業・コーポレート間連携」「グローバル連携」の4つを掲げ、これらを「2現場、4連携」と呼んでいる。

 「なかでも、事業セグメント間連携、グローバル連携の2つをより強くしていきたい」と、今後の方向性を語っている。

 また、成長戦略を、強い事業をより強くする「VI戦略」、社内外連携を通じた強い事業を核とするソリューション事業強化の「AD戦略」を柱とし、技術シナジーによる製品競争力強化、製品シナジーによるソリューション事業の創出へとつなげる姿勢をみせている。

  • 三菱電機の7つの行動指針

  • 「2現場、4連携」を示すフレームワーク

  • 業績の見通し

 こうした取り組みは、2011年度の業績を見る限り、一応の成果をみせているといえよう。

 テレビ事業を主軸とする企業が軒並み過去最大の最終赤字を計上するなか、三菱電機は2011年度の最終利益が微減。経営目標で掲げている営業利益率5%を超える6%台を2年連続で維持している。さらに、最終利益の絶対額についても「保有株式の評価損である326億円を考慮すれば、前年実績を上回る水準になったといえる」(山西氏)という。

 強い事業に徹底的にフォーカスし、コモディティ化した領域に関しては事業を縮小するというバランスされた経営スタイルによって、影響を受けにくい体質を作ったのは事実だといえよう。そして、その仕組みをグローバルに展開していくという点では、今後も安定的な成長が見込めるともいえよう。

 しかし、「指名停止」といった自失によって、強い事業を中心とした基盤を揺るがしている点はいただけない。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]