決済ネットワーク大手のMasterCardは米国時間5月7日、同社独自のデジタルウォレット「PayPass Wallet Services」を発表した。同ウォレットは、小売業者のウェブサイト上に決済アイコンという形で表示するところからサービスを開始する。同ウォレットでは、ユーザーは自分の所有するすべてのカードを保存できる。また、MasterCardはほかのウォレットを同社ネットワークで使えるようにするツールを開発者に配布する予定だ。今回の動きは、「PayPass」を非接触型決済から、もっとユビキタスなものに広げる試みである。
MasterCardは、消費者が所有する複数のクレジットおよびデビットカードアカウントを管理することで開ける展望に引き寄せられた最新の事例にすぎない。したがって、MasterCardは、各社がこの新興分野でシェアを確保しようと試みる、既に参入企業の多い分野に進出することになる。
ライバルのVisaやAmerican Express、無線通信キャリア各社、PayPalはデジタルウォレットの提供という、MasterCardと競合する取り組みに既に着手している。興味深いことに、今回の動きは、MasterCardが主要なパートナーであるGoogle独自のデジタルウォレットへの対抗策と解釈することもできる。
MasterCardはオープンでいることを誓っている。PayPassアカウントは誰でも登録可能だ。まずはこの取り組みに参加している銀行各行が顧客に対し、この機能が公開されていることを通知するところからサービスの周知を開始するが、消費者が自らVisaとAmerican Expressを含む自分自身のクレジットカードを登録することもできる。
MasterCardのEコマース製品開発担当シニアバイスプレジデントであるEd Olebe氏は、「弊社の戦略は、単一のウォレットを採用することではない。弊社の戦略は、相互接続可能な複数のウォレットで構成されるネットワークだ」と述べた。
スマートフォンでの「タップ・アンド・ゴー」の決済を売り込もうとする、より野心的なほかの試みと異なり、MasterCardは携帯電話上でのオンライン購入を通して、モバイル決済分野に慎重に参入することになる。
PayPassは通常のウェブサイトやモバイルサイト上で、Amazonのワンクリックボタンに似た決済アイコンとして表示される。このアイコンを利用すれば、フォームにさまざまな情報を入力する作業が不要になるので、携帯電話上で商品やサービスを購入するときの操作が大幅に簡素化される。同アイコンをクリックした後、消費者は自分の銀行口座と関連づけられたパスワードとユーザー名を入力して、決済を完了する必要がある。オンラインおよびモバイル取引を促進する簡単な方法を探している小規模小売業者にとって、このアイコンはありがたい機能だろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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