特定非営利活動法人「日本オンラインドラッグ協会」(JODA)は4月27日、「医薬品ネット販売の権利確認等請求事件」の勝訴判決に対して声明を発表した。この協会は、店舗販売とともに情報通信技術を活用した医薬品販売に従事する薬局や店舗で組織され、設立から6年が経つ。協会の理事長は、今回の裁判の原告であるケンコーコムの代表取締役 後藤玄利氏が務める。
声明の冒頭では、「合理的根拠なく医薬品のインターネット販売を禁止した省令にメスを入れた司法の判断を歓迎し、厚生労働省に対して、すべての一般用医薬品の、安全な供給体制を整備実現するための販売方法・リスクコミュニケーションのあり方を早急に検討開始するよう求めます」と強調した。
そして、今回の判決については以下のように記し、国会での十分な議論と法律での明確な規定を訴えた。
不合理・不公正な医薬品インターネット販売規制の省令に対するケンコーコムらの主張の正当性がほぼ認められたもので、ようやくあるべき姿に至ったといえます。医薬品のインターネット販売ができる地位・権利を制限するためには、法律で明確に規定されなければならず、さらにはその規制の必要性や合理性を裏付ける根拠について国会で十分に議論されなければならないことが明らかにされました。
判決によって、国会による立法という民主主義原則を逸脱し、一部の既得権益を優遇するかのような不合理かつ不公正な規制を官僚の裁量により省令で制定することが、司法の良識において明確に否定されたことを歓迎いたします。
その上で、厚生労働省を改めて以下の通り批判した。
行政刷新会議の規制仕分けの結果を受け、政府は「郵便等販売・その他の工夫を含めた当面の合理的な規制のあり方について2011年度より検討を進め、早急に結論を得る」との閣議決定をしました。しかし、厚生労働省は、その検討の具体的な工程や検討の場の設定等について未だに何も明らかにしておりません。
最後に、協会として以下の通り、今後の要望を記した。
国及び厚生労働大臣に対して、今回の司法による判決を厳粛に受け止め、上告に踏み切ることのないよう切望いたします。そして今後は、行政主導の過去の過ちにこだわることなく、国民の代表者としての政治主導の適切な判断に基づき、すべての一般用医薬品の安全な供給体制を整備実現するための販売方法・リスクコミュニケーションのあり方を早急に検討開始するように要望いたします。
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