そして、ここではお互いの強みがどこにあるか、商品を買うためのバリューチェーンで説明が行われた。ASKULは「最大の品揃え」、「最安の価格」、「最速の物流システム」、「最高の顧客サポート」を提供し、Yahoo! JAPANは「最強の集客」、「最高の決済」を提供する。この組み合わせた結果として出てくるのが、日本一のEC事業だとした。
アスクルとしての5年後のターゲットとしては連結売上高5000億円、連結営業利益を200億円を目標としている。また、単に規模の拡大や強さを求めるのでは無く、「いつでも、どこでも、誰にでも、欲しいものを欲しいときにお届けする、革新的な生活インフラを、最もエコロジーな形で実現したい」(岩田氏)と付け加えた。
宮坂氏はYahoo! JAPANが目指すこととして、買い物にまつわるあらゆることを”爆速”で解決していきたいと語った。ECは洗練されつつあるとしながらも、まだまだ無駄な点もあり、アスクルのノウハウを活用して、よりスマートで無駄を無くしたいとした。またユーザーのニーズも年々高度化、期待値が上がってきているとし、それに答えるため一段高いECで、今までにない買い物体験を提供したいとした。
さらに宮坂氏は「EC市場を支配するようにはなりたくない」とし、このスマートバリューチェーンを4万点以上の既存ストアにも解放するとした。コンセプトとしてアスクルとYahoo! JAPANを「for Store」でやるとし、日本最大級の物流拠点をフルフィルメントサービスとして提供。全て倉庫に入るわけではないとしながらも、圧倒的な商品数の取り扱いと、即日・翌日配送ができるようにし、これにより日本の消費生活を革新していきたいとしている。
質疑応答のなかで、アスクルはBtoC向けの子会社アスマルについて触れられた。同社とのバッティングについて岩田氏は「今回の提携はど真ん中のボリュームのあるECサービスで、アスマルは働く女性を支援するという明確なミッションを持ったサービスがあり、そこは両立するし、その部分も拡大したい」とした。
BtoBとBtoCの物流の両立についても「基本的に注文していただいたものをお届けするという構図は一緒」とし、物流は密度が上がり量が増えるとコストが下がるシナジーが期待できるとした。アスクルでは事務用品だけではなく生活雑貨や日用品なども扱っており、かなりかぶっていることからも、プラットフォームの拡大はそのままシナジーに繋がるとした。
今回の提携については、どちらから持ちかけたかについては、ヤフー側から持ちかけたことを宮坂氏が明かした。今やECは当日や明日商品が届く、送料も無料というのがスタンダードなぐらい期待値が上がっている。そこをある程度自分たちでコントロールできないと、これからはECをやっていると名乗れなくなる危機感があったという。物流に強い企業とはずっと話し合いがあったなかでも、アスクルの物流の強みはもとより、特に岩田氏と一緒に仕事をしたいという希望も後押しとしてあったという。
今回の提携におけるサービスのスケジュール感については、サイトの規模などのディスカッションができていないとしながらも「勢いとスピード感が大事なので爆速的な速さでやりたい」(宮坂氏)とし、年内にはなんらかのサービスを立ち上げたい意向を示した。
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