かつては、顧客がソフトウェアを入手する形態といえば、フロッピーディスクやCD、DVDだった。プログラマーは決められた期限までに、可能な限り多くの変更点を詰め込む必要があった。
しかし、インターネット時代になると、顧客はダウンロードでソフトウェアを入手し、その後の一連のアップデートやバグ修正、セキュリティパッチもダウンロードして適用するようになってきた。ソフトウェアは、絶えずアップデートされるプロジェクトになりつつある。
つまり、ソフトウェアを開発するプログラマーは、大規模な単体のリリースを完成させなければならないという制約に以前ほど縛られなくなっている。ある機能ができあがったら、オンラインで配布されるアップデートにすぐに追加できる。次のメジャーリリースまでの1~2年の間、ほこりをかぶせて取っておく必要はない。
Adobeのケースにこれを当てはめると、Creative Cloudの顧客は永久ライセンスユーザーよりも先に新しい機能を入手できることになる。Morris氏は、「われわれは、通常ならCS7に搭載されるだろう新機能をCreative Cloudで先に提供する予定だ。2012年中に新しい機能が追加される予定がある」と述べた。
より連続的なこのアップデートスタイルは、ますます一般的になっている。「Google Chrome」と「Firefox」は6週間ごとにアップデートがリリースされる。Sun Microsystemsは何年も前に、同社のOS「Solaris」で四半期に1回の「リリーストレイン」を採用している。Appleはまず、「Mac OS X」で比較的頻繁にアップデートをリリースし、その後、「iOS」でリリースする。毎月の「Windows Update」では、「Microsoft Windows」と「Microsoft Office」の新たなセキュリティ脆弱性が排除される。
しかし、最も端的な例はウェブサイトやウェブアプリだろう。これらは、ユーザーがブラウザで読み込むたびに変化している可能性がある。
絶え間ないアップデートは、さまざまなソフトウェアパッケージをうまく連携させなければならない企業にとって、事態を困難にするかもしれない。しかし、この傾向は、強い力で業界に広がっている。
Creative CloudのサブスクリプションユーザーがPhotoshopや「Dreamweaver」を実行している場合、そのプログラムとファイルは従来どおりローカルコンピュータ上に保存される。そのため、Creative CloudはAdobe版の「Google Apps」というわけではない。
しかし、Creative Cloudにはさまざまなオンラインサービスが含まれる。これもコンピューティング業界の重要なトレンドで、Adobeはそれをうまく利用している。
注目を集めているのは、MacやWindows、iOS、「Android」デバイスの間でファイルを同期する「Dropbox」のような機能だ。サブスクリプションには同サービス用の20Gバイトのストレージスペースが含まれる。Creative Cloudの企業向けバージョンとして今後登場する、年間契約で月額70ドルというより高価なサブスクリプションプランでは、さらに多くの容量が提供される予定だ。その詳細は2012年中に明らかにされる見通しである。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
開発経験ゼロからのローコード開発で
医療ニーズに応えた病院向けシステムを構築
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス