NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、イー・アクセスは4月18日、事業者間のメールでやり取りされる絵文字について、NTTドコモのiモードメールとspモードメールで利用されている絵文字をベースとしたデザインに統一すると発表した。
今回のデザイン統一にあたって、中心となって働きかけたのはKDDIだ。KDDIは今後発表する予定の夏モデル端末(スマートフォン、フィーチャーフォン)およびAndroid 4.0にバージョンアップするスマートフォンから絵文字を変更していくという。なお、今回ウィルコムは名を連ねていないが、すでにNTTドコモと同じデザインの絵文字となっている。
KDDIは今回の変更としてドコモが持つ213個のドコモの「i絵文字」をそのまま取り入れている。さらにこのほか、もともとau端末に搭載されている絵文字の数が多かったことから、新たに434個の絵文字をデザインしなおした。
434個の絵文字をデザインするにあたって、iPhone/Unicode6.0の絵文字との互換を意識した表現にしたという。その上で、i絵文字と統一感を持ったシンプルなものに作り直し、絵文字の監修者にはi絵文字開発者である栗田穣崇氏(現バンダイナムコゲームス)を起用するという力の入ったものだ。
なお、新たに作成した434個の絵文字については、NTTドコモらに採用を働きかけるとしているが、現時点では決まっていないという。
今回のKDDIの決断は、「スマートフォンが主流になってきたこのタイミングだからできたこと」と説明する。
今回のデザイン変更にあたっては、KDDI内部でも賛否両論があったという。au絵文字は2002年にリニューアルをし、現在のデザインになった。10年余り親しまれてきた絵文字には、ユーザーらが愛着があるものもあるだろう。そういった背景から、au絵文字の中でも人気がある「ねこシリーズ」「顔文字」など70個はデコレーション絵文字として全端末に搭載するとしている。
携帯電話における絵文字の歴史は1999年に遡る(先行するものとしてPHSのサービスがあるが、詳細はこちらの記事を参照)。各社が独自性を重視して、ユーザーを囲い込むための武器の1つとして、各社ともリニューアルや文字数の拡張、デコレーション絵文字のサービスを開始するなどしながら、絵文字に積極的に取り組んできた。
KDDIはこれまで、「キャラクター性」「種類の多さ」「カラフルなアニメーション」を強みとして絵文字に取り組んできた一方で、調査によれば現在のキャリア絵文字として求められているものは、(1)どの年齢層も受け入れやすいシンプルな絵文字、(2)送り手の意図した通りに表現されること、(3)キャリア絵文字とデコレーション絵文字の役割の明確化──と分析する。特に若年層には現在のようなデザインよりもシンプルな絵文字が好まれているとし、i絵文字のデザインを採用したとしている。
2006年には各キャリアで絵文字の変換サービスを開始したが、そもそも各キャリアが持つ絵文字が異なることから、表情のニュアンスの違いによって送り手が意図しない表現になったり、ネコの絵文字を使ったのに人の表情になる、絵文字が文字に変換される、といった問題点が生まれた。
ソフトバンクモバイルは、今回のデザイン統一を見送っている。理由として、「(統一の)話はあったが、すでに互換性向上の取り組みをしていたから」(ソフトバンクモバイル広報部)と説明する。ソフトバンクモバイルは2008年6月から絵文字をデザイン変更し、他事業者と親和性の高いデザインにしたほか、文字化けせずに送信できる絵文字だけを表示する「他社共通絵文字モード」を採用している。
i絵文字の採用は、「現時点ではない」(ソフトバンクモバイル広報部)という。2008年に絵文字のデザインを変更した際、アンケートなどをとって、他社との親和性や可愛らしさなどを考慮し、もっとも評価のいいものを採用したからだという。今後については、「他のキャリアメールの機能全般や利便性向上については、他社との連携を図っていく」とコメントした。
一方で、絵文字の表示問題についてはまだ互換性の問題が残っており、今回の取り組みにおいても、KDDIから他社ユーザー宛のメールを送信した際に「〓」や文字で表示されたり、[アイスクリーム]など文字に変換される可能性がある問題は解決できていない。各キャリアで持つ絵文字の数が異なることから、KDDIだけで解決できるものではなく、各キャリア間でさらなる調整が必要になると考えられる。
今回の取り組みにあたって、キャリア間で話し合いの場が持たれたことは、絵文字完全互換に向けた第一歩と言える。今後について「(標準化などの)団体を作ることはないが、(キャリア間で)話はさせていただいている」(KDDI)としており、今後の動向が注目される。
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