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スマホ普及で通信方式移行は過渡期へ--ユーザーに求められる判断力

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 ソフトバンクモバイルが、NTTドコモ、KDDI、イー・アクセスとの競争を経て、総務省から900MHzの周波数帯域、いわゆる“プラチナバンド”の割当を受けたことが話題になった。爆発的なスマートフォンの普及を背景に、ソフトバンクが攻勢をかけドコモ、KDDIを追随、携帯電話市場の勢力図を描きかえてしまうのでは、と業界から注目が集まっている。

 また、ソフトバンクのスマートフォンユーザーの間では、7月から開始されるプラチナバンドを利用した新サービスによって、「今よりつながりやすくなるのでは」という期待感が高まっている。

スマホ人気が、次世代通信方式への移行を促す

 通信キャリア各社がプラチナバンドで競い合った背景には、スマートフォン人気がある。シード・プランニングが実施した携帯電話の世界市場動向調査によると、世界市場におけるスマートフォン加入数は、2016年末に携帯電話加入者数の約46%となる37億4600万、2017年には全携帯電話単年販売台数24億3200万台のうち、約52%の12億6000万台がスマートフォンになると予想されている。

 スマートフォンのデータトラフィックはフィーチャーフォンの約10倍、制御信号トラフィックは2倍から3倍となる。スマートフォンの普及によって、ユーザーはリッチなウェブ体験が可能になるが、キャリア各社にとっては、それに耐えうるインフラ整備が求められることを意味する。

 よりよい通信品質を実現するために、キャリア各社が周波数帯域の拡大とは別に取り組んでいることがある。それが「次世代通信方式への移行」だ。周波数帯域が電波のつながりやすさを決め、通信方式がその速度を決める。通信方式は、1993年に登場し携帯電話の電子メールやウェブ対応を可能にした第2世代(2G)、2001年にドコモが世界に先駆けて商用サービスを開始し、高速データ通信やマルチメディアを利用したサービス提供を促進した第3世代(3G)へと進化してきた。

 そんな通信方式が、次世代つまり第4世代へと移行しようとしている。移行をけん引しているのが、新しいiPadが対応したことでも知られる「LTE(Long Term Evolution)」だ。LTEが3Gと比べて進化しているのは主に「速度」「容量」「遅延」の3つだ。

 まず速度については、3Gでは下り通信速度が最大384kbps~42Mbpsであるのに対し、LTEでは最大37.5Mpbs~326.4Mbpsと、光ファイバー並の高速化がはかられている。容量については、LTEでは3Gの約3倍が確保されている。つまり、従来の3倍のユーザーがスマートフォンで同時にウェブへアクセスできるようになるため、電波の混雑状況もある程度改善されるだろう。

 また遅延も短くなるため、オンラインゲームでの対戦や、Skype、LINEなどIP電話アプリでの通話が以前よりもスムーズになる。LTEを導入することで、トラフィックの抑制をはかるキャリアもますます増えてくるだろう。

キャリアを悩ますコスト構造問題

 LTEの採用にともない、新サービスや対応端末の投入も進んでいる。先手をきったのがドコモ「Xi(クロッシィ)」。そしてXiに対応する「GALAXY S Ⅱ LTE SC-03D」「AROOWS X LTE F-05D」などのスマートフォン、「GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D」「ARROWS Tab LTE F-01D」などのタブレット、「L-09C」などのWi-Fiルータだ。

 米Strategy Analyticsの調査によると、LTE方式の高速通信ネットワークに対応したスマートフォンの出荷台数は、2011年の680万台から2012年は約10倍の6700万台に達するという。日本でもLTEと3Gの両方を用いたハイブリッド型の端末が普及してくれば、LTE対応エリア内では高速通信を利用し、エリア外ではやや低速にはなるが、確実に接続できる3Gを利用できるようになる。高速通信によるバッテリの消耗や端末の重さを軽減した端末の普及が進めば、この移行はスマートフォンユーザーにとっては歓迎すべき変化である。

 その他にも、キャリア各社はインフラ整備を進めている。主なトレンドがWi-Fiスポットの展開だ。セブン&アイ・ホールディングスは、NTT東日本と共同で都内のセブン・イレブンなどに公衆無線LANサービスを設置すると発表。また、ローソンはKDDIと業務提携し、ローソングループの全国約9000店舗にWi-Fiスポットを設置するとしている。

 このようにキャリア各社がトラフィックの増加対策を進めているが、これは一部の通信を逃がすための付け焼き刃でしかない。各キャリアが抱えている最重点課題は、そのコスト構造だ。つまり、スマートフォンの普及・高機能化によってユーザーの通信品質に対するニーズが高まり、キャリアは設備投資を迫られる。しかし、ユーザーが支払うサービス利用料金を容易に引き上げることはユーザーの満足度低下、ひいては他キャリアへの乗り替えを招いてしまうというジレンマだ。

 2010年には、米大手通信会社のAT&Tが、新規ユーザー向けの定額制プランを廃止したことについて、ソフトバンクモバイル代表取締役社長の孫正義氏が、Twitterで「悩ましい問題。世界中の携帯事業会社の経営者の悩みです」とコメントし、増加するトラフィックへの対応が課題となっていることを認めている。

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