Wikimedia Foundationのドイツ支部は現地時間3月30日、「Wikidata」プロジェクトについて明らかにした。このプロジェクトは、あらゆる言語版の「Wikipedia」で利用できる一元的な構造化データ共有ソースの構築を目指すものだ。12月までに、各言語版Wikipedia記事の編集者は、データを手作業で追加する代わりに、このリポジトリからデータを引き出せるようになる予定だ。
Wikidataプロジェクトの当初予算は170万ドルで、Microsoftの共同創設者であるPaul Allen氏が運営するAllen Institute for Artificial Intelligenceが50%、Googleが25%、Gordon and Betty Moore Foundationが残りの25%を出資する。
「The Wikipedia Revolution How a bunch of nobodies created the world’s greatest Encyclopedia(邦題:ウィキペディア・レボリューション:世界最大の百科事典はいかにして生まれたか)」の著者Andrew Lih氏によれば、Wikidataプロジェクトは、Wikipediaにとって「論理にかなった前進」だという。「Wikimedia Commons」のおかげで、さまざまな言語版のWikipediaでメディアを共有できるようになっているが、Wikipediaにおけるデータ利用も、Wididataによってそれと同じようになるというのだ。
「始動時のWikipediaは、各(言語版の)Wikipediaが独立していた。手作業で記事を転記していた」(Lih氏)
Wikimedia Commonsでは、編集者が写真や地図などを自動的に取り込める。Lih氏はWikidataについて、「データをもっと効率よく整理する優れた方法」として、構造化データを共有化するものだと考えているという。
だが、Lih氏はその一方で、Wikidataのように高度な技術的ソリューションに移行することで、技術にあまり詳しくないWikipediaの編集者が敬遠する傾向が加速するのではないかと懸念している。
とはいえ、Lih氏も、たとえば「5月5~12日に生まれたすべてのオーストリア人俳優」といった情報を記事編集者が中央データベースに照会できるようになるので、WikidataのようなものがWikipediaの将来にとって不可欠なツールであることを認めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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