ミクシィは3月21日、ソーシャルコマースサービス「mixiモール」を公開した。すでに同日11時から一部のユーザーから順次サービスを提供している。PCのほか、スマートフォン、フィーチャーフォンに対応する。
ミクシィはこれまでにもソーシャルコマースの提供する意思を示していたが、2012年に入ってディー・エヌ・エー(DeNA)との提携を発表。共同で3月中にもソーシャルコマースを展開するとしていた。
mixiモールでは、約1500店舗、約350万品の商品を販売する。出店する企業(マーチャント)はセシルマクビー(ジャパンイマジネーション)やローソンHMVエンタテイメント、ヴィレッジヴァンガードコーポレーションなど。システム面ではDeNAのビッダーズのものを利用している。決済方法もビッダーズに準じており、クレジットカードやコンビニなどが利用可能。また購入時には商品代金の通常1%が「モールP」と呼ぶポイントに還元される。ポイントは次回以降の購入に利用できる。なお、コンテンツ課金用の仮想通貨「mixiポイント」は利用できない。
ソーシャルメディアが普及しはじめてからよく聞くようになったソーシャルコマースとは、購買行動にソーシャルサービスが介在するEコマースのこと。mixiモールを担当するミクシィ ユーザーサービス本部ソーシャルプラットフォーム統括部兼コマース部部長の川岸滋也氏は、ソーシャルコマースをうたって提供されているサービスの多くが、(1)ソーシャルサービスがコミュニケーションの場であるため、購買への心理的ハードルが高い(2)ECサイトやモールが多くある中で、ソーシャルサービス上で購買する必要性がない(3)マーチャントのページにユーザーが集まる仕組みがない――と、問題点を抱えていると説明する。
「(ソーシャルコマースについて)頑張ったところで、本当に売れるのかと皆さんも考えているし、僕らも考えている。mixiページやFacebookページを使うだけではなく、もっと融合できないかというのが狙い。ミクシィ自ら仕掛けていこうとしている」(川岸氏)
川岸氏はソーシャルコマースのマーケットについて、友人らとの会話から発生する「モノへの興味」からの消費行動「共感消費」と、友人らとみんなで購入する消費行動「共同消費」の2種類があり、それぞれ個人消費と他者への消費(ギフト)があると説明。これまでミクシィが手がけてきた「ミクシィ年賀状」は、「共感消費×ギフト」のサービスであり、「mixiバースデー」は「共感消費×ギフト」と「共同消費×ギフト」のサービスだと語る。今回のmixiモールでは、参入ハードルが低く、規模が大きいと同社が考えている「共感消費×個人消費」のコマースを展開する。
また川岸氏は、mixiでのコミュニケーションの中心的な価値は、共感が強く生まれやすい実際の人間関係「リアルグラフ」であり、それに加えてコミュニティ機能などで趣味趣向でつながる人間関係「インタレストグラフ」があると説明する。この2つのつながりが重なった強い共感を持つ関係に対してサービスの重点対象にすると語る。「リアルに知っていて、共通の趣味趣向がある人たちが一番盛り上がる」(川岸氏)
具体的には、モール上で販売される商品の各ページに「もってる!」「きになる!」の2つの感情をあらわすボタンを用意。ユーザーがそれぞれをクリックすることで、友人のフィードにこれらのアクションが流れるようになる。レビューを書くほどでなくとも気軽に所有している意志を表現できる「もってる!」ボタンと、欲しい、いいねよりも広い感情を表せる「きになる!」ボタンを用意することで、これらのボタンをフックにした商品の認知や共感、購買を喚起させることを狙うという。
ほかにも商品ページには、商品に対する友人やほかのユーザーのコメントが表示される。商品に関するコミュニケーションを通して、「友人に(商品購買への)背中を押してもらう」(川岸氏)仕掛けを用意する。
また、自分が各種のボタンを押した商品を一覧できるページも用意する。現状はユーザー自身の内容しか閲覧できないが、将来的にはこの情報を共有することも検討している。
出店マーチャントにはそれぞれmixiページを用意。ランキングや新着商品の表示用アプリを提供して、ページ運営を支援するという。mixiモールとmixiページ、そしてmixiのトップページでの広告――mixi内のさまざまな要素を使って商品に触れる機会を作ることで、「友人とウィンドウショッピングをするような感覚を作り、共感消費を最大化する」(川岸氏)という。
冒頭でmixiモールのEC機能はビッダーズのシステムを利用していると説明しているが、mixiモールへ出店する場合、ビッダーズにも同時に出店することになる。ただマーチャントからはmixiモールのみでの展開を希望する声もあるため、今後対応を検討していくという。また、将来的にはmixiバースデーなど自社の他サービスとも連携の道を模索する。
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