ビルコムは、Facebook上にショップを開くことができる法人向けソーシャルコマースサービス「ReBuy(リバイ)」を2月2日に開始した。3つのテンプレートと3つのカラーパターンを選ぶだけで、デザイン性の高いオリジナルショップを作成できるのが特長だ。ショップレイアウトも簡単に編集でき、商品登録から在庫管理まで行える。
ReBuyでは、商品に対する感想を表現できる「いい!」ボタンを搭載しており、ユーザーは「行きたい」「かわいい」など29種類のパターンで商品への評価を友人に共有できる。また、Facebookショップ内で決済処理まで完結できるほか、購入した情報をウォールに投稿することもできる。
ボタンを押してくれた人には商品を割引する「いい!」ボタン割引機能や、気になる商品を特定の友人に相談できる「友達に相談」ボタンも搭載する。
ReBuyが提供するCRM(顧客関係管理)システムでは、ボタンクリック数や購入率だけでなく、商品購入とクチコミ拡散の2つの軸で、重要な顧客を見つけることができる「影響度ランキング」を提供する。この機能を実装した背景について、ビルコム 新規事業担当 執行役員の野崎耕司氏は「店舗にとっての重要顧客の考え方が変わりつつある」と語る。
「これまでは頻繁に買ってくれる顧客が重要だったが、今後は頻繁に口コミをしてユーザーを引っ張ってきてくれることも重要な指標になると思っている。“購入力”と“推薦力”が高い人が店舗にとって重要になる、そういったところを判断するツールとして使って欲しい」(野崎氏)
料金プランは「開店プラン」と「集客プラン」の2種類を用意している。Facebook上で決済処理できる開店プランは、初期固定費、月額固定費ともに無料で、成果報酬としてシステム利用料(ショップの月間全体売り上げに対する課金率)4%で提供する。Facebookから自社サイトに集客させる集客プランは、初期導入費5万円、月額固定費9800円で、成果報酬としてクリック課金60円で提供する。
サービス開始時には、ローソン、東急ハンズ、アサヒビールなど約30社の導入が確定していたが、リリース後は中小企業を中心に導入が増え、2月28日時点で約60社に導入されている。また、大手企業は自社サイトへ誘導する集客プランを、中小企業はFacebook上で決済処理できる開店プランを選ぶ傾向にあるという。
気になるのはサービス導入後の効果だが、野崎氏によれば、サービス開始時のオープン企業を対象にした、Facebookページのファン数増加率は全体平均で158%、開店プランを利用する中小企業では270%にのぼるという。「ショップの影響なのかは一概には言えないが、ショップを開設したことで告知の機会が生まれ、それを見て商品を気に入った人がブックマーク的に『いいね!』をするといった使われ方をしているのでは」(野崎氏)
アクセスが増える一方で、ショップ内での売り上げについては「まだほとんど出ていない」のが現状だ。「リアルの世界でも同じことは言えるが、ショップを作っただけではなかなか売れない。これからは、集まった顧客を店舗がどう工夫して購買につなげるかだと思っている。我々もいろいろなトライアンドエラーを店舗と進めている段階」(野崎氏)
購買につなげる仕掛けとしては、たとえばFacebook限定のセール企画を実施して口コミを起こし、新しいファンを作るといったものや、ユーザーと共同で商品を企画してFacebookショップのみで販売するといったことだ。野崎氏は「単に物を売るという発想ではなく、ファンを増やすという発想が重要」と語る。
ビルコムは2012年度で200件の導入を目指す。また、今後はモバイル対応を進めるほか、英語、中国語、韓国語圏にもサービスを提供したいとしている。
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