GDP(国内総生産)で日本を抜き世界2位になるなど、急成長を続ける中国。この国最大のネット検索エンジンが「Baidu(バイドゥ)」だ(日本語版)。中国では約8割のネットユーザーに使われている大型の検索エンジンとなる。
Baiduの2011年のPC向け検索連動型広告(リスティング広告)の売り上げは、前年比177.2%増の約1680億円。電通が発表した「2011年 日本の広告費」(PDF)によれば、日本における2011年の検索連動型広告(PC)の売り上げは約2194億円となっており、バイドゥ国際事業室マネージャの高橋大介氏は「2013年ころにはBaidu単体で日本全体の売り上げを抜くのでは」とみている。
また高橋氏は、近年中国へのネット広告の出稿を検討する日系企業が増えていると話す。その背景として挙げられるのが、(1)中国におけるネットユーザーの増加、(2)中国のGDPの増加、(3)中国観光客の訪日ビザ発給要件の緩和、(4)中国Baiduにおける広告管理システムの機能充実だという。
「社会的にも規制緩和の流れがあるため、ビジネス自体を行いやすい環境になった。また、インフラも構築されてきたことで、投資がしやすくなってきている」(高橋氏)。
Baiduの日本法人であるバイドゥでは、中国のBaiduへの広告出稿を仲介する形で、日本企業の中国進出をサポートしている。バイドゥによれば、2012年3月5日時点で、約200社の日本企業がBaiduに広告を出稿しているという。
Baiduの中国本社ではグローバル展開を行う大手メーカーなどによる出稿が中心だが、日本からの出稿では「ホテル・旅行・観光関連」分野のシェアが55%と圧倒的に多く、それに「精密機器・製造」(15%)や「IT・EC」(9%)が続く。高橋氏は旅行分野への出稿が多い理由として「中国人観光客の誘致」を挙げる。
「大型ショッピングモールやテーマパークなど、中国へ拠点を設ける必要はないけれど、中国にも告知をして観光客を呼び込みたいという企業が非常に多い」(高橋氏)。近年、中国における旅行のオンライン予約に関する検索クエリが増加傾向にあることも、広告投下に拍車をかけているという。
実際に中国のBaiduへ出稿している日本の大手ドラッグストアでは、中国の大型連休に併せて、中国版のウェブサイトにクーポン情報を掲載。クーポンを印刷して、日本の各地の店舗で買い物をすると、購入額から一定額を割引くプロモーションを約2年前に実施した。
このプロモーションが中国の消費者に受け入れられ、多くの観光客の来店につながった。エリアについても、当初は東京の店舗に集中すると予想していたが、その予想を裏切り関西地域での来客が大幅に増加。その後の店頭対応などに活用することができた。また、客単価も日本の顧客と比べて約5倍近い金額だったという。
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