苦難の続くAOL--その先に待つものは

Ben Parr (Special to CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年03月09日 07時30分

 先週のAOLは気の休まる暇もなかったようだが、悪いニュースがいくつかあったとはいえ、それが同社の終焉を予告しているわけではない。

 まず、AOLは最高技術責任者(CTO)のAlex Gounares氏を失った。同氏はシアトルに戻りたがっていたという。その後、テクノロジ部門のトップだったTim Dierks氏と販売部門の幹部だったTim Castelli氏も同社を去った。しかもその上に、苦境にあえぐ同社が西海岸のオフィスで複数名の従業員を解雇しようとしているというニュースもリークされた。

 おそらく唯一の明るいニュースは、TechCrunchの編集長だったErick Schonfeld氏の辞任である。AOLが持つ知名度の高い資産の1つであるTechCrunchのリーダーを失ったことは、表面的には良いニュースと感じられないかもしれない。しかし、TechCrunchは切実に立て直しを必要としていた。TechCrunchの新編集長に就任したEric Eldon氏は社内で大きな支持を得ており、筆者は、同サイトのトラフィック減少からの回復に同氏が貢献すると考えている。

 ただ、こうした騒動や従業員の退職は外部に良い印象を与えない。一部のAOL投資家が取締役会の刷新を強く求めていることに誰も驚かないのは、そのためだ。

 しかし、AOLは決して死んでしまったわけではない。この3カ月、同社の株価は上昇を続けており、前四半期にはウォール街予測を上回った(とはいえ、売上高と利益は2010年第1四半期に比べて減少している)。

 AOLメディア帝国の中心的存在であるThe Huffington Postのトラフィックは増加している。comScoreによると、米国におけるトラフィックはこの1年間で46%増え、2011年1月に2760万人だった米国のユニークビジター数は2012年1月には4030万人に達したという。EngadgetとThe Patch Network(AOLのハイパーローカルブログネットワーク)も安定しているが、その一方で、AOLのホームページとTechCrunchのトラフィックは前年比でそれぞれ17%と31%減少している。

 そう、確かにAOLはもがき苦しんでいる。最高の人材をつなぎ止めることに関しては特にそうだ。コンテンツベースの事業を構築するには長い時間がかかる。検索ランキングのトップの位置や忠実な読者などは、一夜にして簡単に獲得できるものではない。

 AOLの向かう先にあるのは復活なのか、停滞なのか、それとも忘却なのか。それがはっきりするのは、まだ先のことだろう。現時点では、AOLの終焉は避けられないという予測を立てるには早すぎる。

AOL

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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