スペイン・バルセロナ発--サムスン電子は、タブレット市場に突破口を開こうとする試みがおおむね失敗していることを認めた。ある幹部が示した同事業の業績の概要は、意気消沈させるようなものだった。
サムスン電子で製品戦略を担当する幹部のHankil Yoon氏は、バルセロナでのメディア座談会で現地時間2月27日、「正直なところ、われわれはタブレット市場ではあまり順調ではない」と述べた。
2月27日に開幕した見本市「Mobile World Congress 2012」で企業幹部から得られた発言としては、Yoon氏の声明はなかなか率直なものだった。
サムスン電子がタブレット事業で目標に届いていないことはさほど大きな驚きではない。同社は米国の市場で、Appleの「iPad」や、さらにはAmazonの「Kindle Fire」にさえも大きく遅れをとっている。とはいえ、会社の立場での発言と専門用語が支配する場で、特にデリケートな性質の話題について、企業幹部が弱さを認めることは新鮮だ。
Appleや他のタブレットメーカーと異なり、サムスンは「Galaxy Tab」製品ラインを散発的に多機種展開するというアプローチを試みた。同社は最初に7インチ版を売り出し、続いて10インチ版を投入し、さらに中間サイズを追加して製品ラインを満たした。サムスンは主として、何が消費者の反響を得るかを探る実験場として市場を利用し、サイズを試していた。
それでもサムスンは、「Galaxy Note」は人気が出るという自信を失っていないようだ。Galaxy Noteは、すでに市販されている5インチのデバイスで、主にそのサイズゆえの批判が相次いでいる、電話機として使えるが、見た目はスマートフォンにもタブレットにも分類できない中間的な製品であり、「phablet」(フォンとタブレットを合わせた造語)とも呼ばれている。
Yoon氏は、5インチのGalaxy Noteを1000万台出荷するとの見通しを語った。タブレット市場でまだ苦戦している会社としては高めの予想だ。スタイラス「S-Pen」が付属し、コンテンツの消費というよりむしろ、コンテンツの制作がいっそう簡単になる、とYoon氏は考えている。
サムスン電子は2012年2月下旬、Galaxy Noteの10.1インチ版を発表した。重複製品となるおそれはないのかという質問に、Yoon氏は、Galaxy Noteがオリジナルである10.1インチGalaxy Tabの販売を食うことを期待すると述べた。
「市場で生き残るには自社製品をやっつけるのがベストだ。われわれは市場での競争力を維持したい」(Yoon氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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