ソニーは社長交代を含む人事発表を受け、2月2日に会長兼社長CEOのハワード・ストリンガー氏と副社長の平井一夫氏出席の下、記者会見を開催した。テレビ事業の立て直しも盛り込んだ4つの重点施策を発表し、将来のコア事業の一つとしてメディカル分野に取り組むことを明らかにした。
会見では、冒頭にハワード・ストリンガー氏が「2009年2月に次世代のリーダーを指名した頃より後任について議論してきた。その中でも平井はプレイステーションビジネスとネットワークエンタテインメントビジネスで大きな実績をあげ、ソニーの経営をリードしていくのにふさわしい人物であることを実証してきた」と次期社長に平井氏を推薦した理由を述べた。
新社長に就任する平井氏は新体制におけるマネジメント方針として「One Management体制の徹底」と「脱サイロの継続・発展、One Sonyの実現」を打ち出し、強いリーダーシップをもって社長職を遂行する姿勢を見せる。平井氏が今後の重点施策として発表したのは
の4つ。ソニーが持つデジタルイメージング、ゲームの2つの垂直統合型ビジネスでNo.1ポジションの確立と新たなモバイル商品の創出、低迷が続くテレビ事業においてリソースの取捨選択の徹底と設計コスト/固定費の低減、コモディティ化した商品の事業構造の見直しなどを表明。加えてイノベーションの加速として、メディカル分野を将来のコア事業の一つに据えるとした。
平井氏は「メディカル事業に関しては、ソニーが得意のセンサや信号処理を応用することで革新的な技術を創出できると考えている」と意欲を見せる。ただし出資提案が報道されているオリンパスとの提携については「コメント差し控える」として明らかにしなかった。
液晶テレビに関しては「立て直しは待ったなし」とスピード力を持って対応することを表明。商品力の強化として独自技術を使ったCrystal LED Displayや有機ELなどの次世代ディスプレイについても開発を進めるとした。
テレビ事業は業界全体が厳しい状況にあるが「事業の撤退や縮小はお客様に楽しんでいただくための重要なリンクがなくなると考えている。テレビはゲーム、映画、ネットと様々なコンテンツが楽しめる重要な商品。ソニーがこれから新商品や楽しみ方を提案する中で、すべてとは言わないがテレビを通して楽しんでいただく機会は増えることはあっても減ることはない」と、テレビ事業の位置付けを示す。
2011年11月に発表した収益改善プランについては「すでに着手しており、その一つがサムスン電子との液晶パネル会社S-LCDの合弁解消でイニシアチブが進んでいる。ただし、これから軌道修正するものが出てきたら、その場で軌道修正しつつプランを遂行していく。リアルタイムでものごとを変革していかなければならない」とし、今後の取り組みを変更する可能性があることも示唆した。
コア事業の強化として挙げられた新モバイル商品については「Androidという共通OSの中でどのような形で差異化していくかがポイント。ソニーが持つデジタルカメラ『サイバーショット』の画像処理や信号処理技術を投入することで、差が出てくる」と商品コンセプトを話す。加えて「スマートフォンだけでなく『PlayStation Vita』もソニーグループにとってモバイル戦略の大きな位置を占める商品。他社にはないモバイル戦略だと思っている」とした。
新体制は4月1日付けで実施され、ハワード・ストリンガー氏は取締役代表執行役会長に、平井一夫氏は代表執行役社長兼CEOに、それぞれ就任する。
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