「Yahoo!ボックス」は、Yahoo! JAPANが運営するオンラインストレージサービスだ。無料版では5Gバイト、Yahoo!プレミアム会員は50Gバイトまでの大容量を利用でき、ローカルフォルダの同期のほか、スマートフォンからの参照やアップロード、共有メンバーとのやり取りなどが行えることが特徴だ。
仕組みとしては、PCに導入したユーティリティを使って、対象フォルダ内のファイルをクラウド上のスペース(マイボックス)と自動同期するというもの。既存のサービスでは「Dropbox」などに近い仕組みだ。ウェブブラウザから任意のファイルをアップロード/ダウンロードすることも可能だが、メインはあくまでもユーティリティを用いた同期という印象だ。
クラウド上に置かれたファイルは、ユーティリティ導入済みの別のPCと同期できる。セットアップ直後はリンクファイルだけが生成され、読み込もうとした段階で初めてファイルがダウンロードされる仕組みだ。このあたりは「ZumoDrive」にも見られる仕様で、ローカルドライブの容量消費が最小限で済む反面、ネットワークから切り離してPCを持ち歩く際にあらかじめダウンロードしておかないと参照できないデメリットがある。これらをユーザー側で任意に選べるようになれば使い勝手はさらによくなるだろう。
このほか、iPhone/Androidアプリを使って閲覧したり、音楽ファイルをストリーミングで再生することができる。ファイルのアップロードにも対応しており、スマートフォンで記録した写真や動画、音声をアップロードできる。ファイルの公開設定もできるほか、50Gバイト以上のプランでは友人とのフォルダ共有も可能だ。タグこそつけられないものの、お気に入りを示す星マークはつけることができる。
もっとも、まだ登場したばかりということもあってか、細かい使い勝手はまだまだといった印象がある。例えば同期対象フォルダは最初は空である必要があるため、ファイルが入っているフォルダを同期対象に指定するには、一度ファイルを別の場所に移動させ、セットアップ完了後に書き戻す必要がある。
またDropboxと同じ感覚で短時間に連続してローカルのファイルを更新すると、ファイル同期に失敗する場合があるなど、もどかしさを感じることもしばしばだ。またDropboxとの大きな違いとして、履歴機能がないことも挙げられる。
とはいえ、スマートフォンだけでなく携帯電話にも対応するなど、国産サービスならではの利点も多く、アップロード再開機能などきめこまかな機能もある。また既存のYahoo! IDを利用できるため、オークションなどですでにYahoo!プレミアム会員になっているユーザーにとっては、追加投資なしで50Gバイトもの容量を利用できるのは魅力的だろう。スペックはなんら遜色がないだけに、使い勝手を中心に今後さらにブラッシュアップされることを期待したい。
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